「貸与」か「販売」か。福祉用具の分類を一瞬で見抜く「衛生」の法則

問54

介護保険における福祉用具について正しいものはどれか。3つ選べ。

  1. 福祉用具の使用目的には、利用者の自立した日常生活の支援と介護者の負担軽減が含まれる。
  2. 浴槽内いすなどの入浴補助用具は、特定福祉用具販売の対象となる。
  3. 利用者の身体を滑らせるスライディングボードは、特定福祉用具販売の対象となる。
  4. 空気式又は折りたたみ式の簡易浴槽は、福祉用具貸与の対象となる。
  5. エアマットなどの床ずれ防止用具は、福祉用具貸与の対象となる。
目次

正解は1・2・5。基本理念と「水回り」のルール

福祉用具の問題は、個々の品目を覚えるのではなく「なぜレンタルなのか? なぜ購入なのか?」という理由を押さえることで完答できます。

利用者と家族、両方を救う(選択肢1)

福祉用具の使用目的には、利用者の自立した日常生活の支援と介護者の負担軽減が含まれる。

この記述は適切です。

福祉用具の目的は二刀流です。
車椅子があれば利用者は移動でき(自立支援)、介助者は抱え上げなくて済みます(負担軽減)。
片方だけでなく、双方にメリットがあるのが本来の姿です。

お風呂用品は「購入」一択(選択肢2)

浴槽内いすなどの入浴補助用具は、特定福祉用具販売の対象となる。

この記述は適切です。

判断基準は「他人が使ったものを再利用できるか」です。
入浴や排泄に関する用具は、直接肌に触れ、水や汚れがつきます。
衛生面や心理的な抵抗感からレンタルには馴染まないため、「特定福祉用具販売(購入)」の対象となります。

高機能マットは「レンタル」(選択肢5)

エアマットなどの床ずれ防止用具は、福祉用具貸与の対象となる。

この記述は適切です。

エアマットは機械仕掛けで高価であり、定期的なメンテナンスが必要です。
また、状態が改善すれば不要になります。
このように「高価・管理が必要・変化に合わせて交換する」ものは、「福祉用具貸与(レンタル)」が適しています。

誤答は3・4。例外に見えるひっかけ

誤りの選択肢は、形状や素材に惑わされやすいアイテムです。原則に立ち返って考えましょう。

ボードは「ベッドの付属品」(選択肢3)

利用者の身体を滑らせるスライディングボードは、特定福祉用具販売の対象となる。

この記述は不適切です。

スライディングボードは、ベッドから車椅子へ移乗する際に使う板です。
これは「特殊寝台付属品」というカテゴリーに含まれ、「貸与(レンタル)」の対象です。
プラスチック製で洗えそうですが、ベッドとセットで使う機能部品という扱いです。

空気で膨らませても「お風呂」(選択肢4)

空気式又は折りたたみ式の簡易浴槽は、福祉用具貸与の対象となる。

この記述は不適切です。

部屋の中で空気を入れて膨らませるタイプであっても、「浴槽」である以上、用途は入浴です。
肌が触れ、お湯を使うため、衛生面の観点から「販売(購入)」の対象になります。
「簡易」という言葉に騙されてはいけません。

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