問36
次の記述のうち、より適切なものはどれか。3つ選べ。
- 倒れている高齢者を発見したときは、意識の有無を確認する。
- 吐物を処理する場合は、使い捨て手袋を使用し塩素系の消毒剤を使用する。
- 止血した腕は、心臓より低い位置で保持する。
- 心肺蘇生時の胸骨圧迫は、うつ伏せにして行う。
- 高齢者が発熱したときは、全身状態の変化も併せて観察する。
正解は1・2・5。発見・処理・観察の鉄則
介護現場や在宅では、予期せぬ急変に遭遇することがあります。
その時、適切な初動ができるかどうかが重要です。
まずは「反応」を見る(選択肢1)
倒れている高齢者を発見したときは、意識の有無を確認する。
この記述は適切です。
発見したら、まずは周囲の安全を確認し、肩を叩きながら「大丈夫ですか」と声をかけます。
反応(意識)がなければ、すぐに助けを呼び、119番通報とAEDの手配を行います。
これが救命の第一歩(一次救命処置)です。
吐物は「感染源」と心得る(選択肢2)
吐物を処理する場合は、使い捨て手袋を使用し塩素系の消毒剤を使用する。
この記述は適切です。
嘔吐物はノロウイルスなどの感染源である可能性が高いです。
素手で触るのは厳禁。使い捨て手袋、マスク、エプロンを着用し、次亜塩素酸ナトリウム(塩素系消毒剤)で確実に消毒します。
乾燥してウイルスが舞い上がる前に処理するのがポイントです。
熱以外のサインを探す(選択肢5)
高齢者が発熱したときは、全身状態の変化も併せて観察する。
この記述は適切です。
高齢者の発熱は、肺炎や尿路感染症など重大な病気のサインかもしれません。
熱の数字だけでなく、意識レベル、呼吸状態、顔色、水分摂取量など、全身の状態をトータルで観察することが、重症化の予兆に気づく鍵です。
誤答は3・4。効果がない、あるいは危険な処置
誤りの選択肢は、医学的な理屈に合わない、あるいは救命を妨げる行為です。
重力に逆らう(選択肢3)
止血した腕は、心臓より低い位置で保持する。
この記述は不適切です。
出血している部位を心臓より低くすると、重力で血液が集まりやすくなり、出血が止まりにくくなります。
止血効果を高めるためには、心臓より高い位置に上げることが基本です。
心臓マッサージは「仰向け」(選択肢4)
心肺蘇生時の胸骨圧迫は、うつ伏せにして行う。
この記述は不適切です。
胸骨圧迫(心臓マッサージ)は、胸の真ん中にある胸骨を垂直に押し下げて、心臓をポンプのように動かす手技です。
うつ伏せ(腹臥位)では胸骨を押せませんし、顔が埋もれて窒息します。
必ず硬い床の上で仰向け(仰臥位)にして行います。