リハビリは「訓練」だけじゃない。残存機能と廃用予防の鉄則

問29

リハビリテーションについて適切なものはどれか。3つ選べ。

  1. 利用者の残存能力をできる限り活かす。
  2. 急性期及び回復期に獲得された機能をできるだけ長く維持することも重要である。
  3. 廃用による筋力低下や筋委縮の予防には、趣味や余暇活動への参加は効果がない。
  4. 本人が苦痛を感じなければ、同じ姿勢で安静臥床を続けることが望ましい。
  5. 変形性膝関節症は、歩行障害の原因となることがある。
目次

正解は1・2・5。「あるもの」を活かし、維持する

リハビリテーションの目的は、単に体の機能を回復させることだけではありません。
残された能力(残存能力)を最大限に活用し、その人らしい生活を送れるように支援することです。

できることは自分で(選択肢1)

利用者の残存能力をできる限り活かす。

この記述は適切です。

「できないこと」を嘆くのではなく、「できること(残存能力)」に目を向けます。
たとえ麻痺があっても、健側の手を使って着替えたり食事をしたりすることは、自立支援の基本であり、リハビリそのものです。

維持することも立派なリハビリ(選択肢2)

急性期及び回復期に獲得された機能をできるだけ長く維持することも重要である。

この記述は適切です。

リハビリには時期があります(急性期→回復期→維持期)。
病院で集中的に回復させた機能を、退院後の生活(維持期)で低下させないようにすることも、極めて重要なリハビリテーションです。

膝の痛みは生活を奪う(選択肢5)

変形性膝関節症は、歩行障害の原因となることがある。

この記述は適切です。

高齢者に多い変形性膝関節症。
膝の痛みにより歩くのが億劫になり、活動量が減ることで筋力が低下し、さらに歩けなくなる…という悪循環(ロコモティブシンドローム)の入り口になりやすい疾患です。

誤答は3・4。「安静」と「無関心」は廃用の元

誤りの選択肢は、心身の機能を低下させる「廃用症候群」を招く考え方です。

楽しみもリハビリになる(選択肢3)

廃用による筋力低下や筋委縮の予防には、趣味や余暇活動への参加は効果がない。

この記述は不適切です。

リハビリはつらい筋トレだけではありません。
囲碁を打つ、手芸をする、散歩を楽しむ。
こうした趣味活動に参加することで、自然と体を動かし、脳を刺激することは、廃用症候群の予防に非常に効果的です。

寝かせきりは「毒」(選択肢4)

本人が苦痛を感じなければ、同じ姿勢で安静臥床を続けることが望ましい。

この記述は不適切です。

「楽だから」といって寝かせきりにすると、あっという間に廃用が進みます。
関節が固まり(拘縮)、筋力が落ち、床ずれ(褥瘡)ができやすくなります。
痛みがない範囲で、できるだけ早期に離床し、動く機会を作ることが重要です。

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