親の一人暮らし、最大の壁は「夜」にある。自宅が施設に変わる「定期巡回サービス」とは?

「昼間はデイサービスに行っているから安心だけど、夜が心配で……」

離れて暮らす親御さんや、同居していても仕事があるご家族にとって、魔の時間は「夜間」です。
もし夜中にトイレに起きて転倒したら?
急に具合が悪くなって動けなくなったら?

そんな不安から、「そろそろ老人ホームに入ってもらうしかないか」と、親御さんが望まない施設入居を検討し始めるケースは少なくありません。

でも、諦めるのはまだ早いです。今の日本には、「自宅にいながら、まるで施設のような24時間の安心」を手に入れられる介護サービスがあるのをご存知でしょうか?

今回は、在宅介護の切り札とも言える「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」(名前が長いので、以下「定期巡回サービス」と呼びます)について、わかりやすく解説します。

目次

自宅に「ナースコール」がやってくる感覚

これまでの「訪問介護(ホームヘルパー)」は、基本的に「週に〇回、〇曜日の〇時から1時間」といった決まったスケジュールでしか来てもらえませんでした。
しかし、トイレに行きたくなる時間や、喉が渇いて水が飲みたくなるタイミングは予測できませんよね。

「定期巡回サービス」は、この常識を覆す画期的な仕組みです。大きな特徴は2つあります。

1. 「1日何回でも」短時間で来てくれる

「朝の着替え」「昼の服薬確認」「夕方のトイレ誘導」「寝る前の安否確認」など、1回10分〜20分程度の短いケアを、1日に何度も受けることができます。

2. 「何かあったら」すぐに駆けつけてくれる

これが最大の特徴です。利用者の自宅には専用の通信端末(ケアコール)が設置されます。
「転んで起き上がれない」「気分が悪い」といった時、ボタンを押せば24時間待機しているオペレーターに繋がり、必要と判断されればヘルパーや看護師がすぐに自宅へ駆けつけてくれます。

つまり、「自宅にナースコールがついた」ような状態になるのです。これなら、夜中の一人暮らしでもぐっと安心感が増しますよね。

どんな人が使っているの?

このサービスは、以下のような方に特におすすめです。

  • 独居や老老介護の方: 何かあった時に助けを呼べる人がそばにいない場合。
  • 退院直後で不安な方: 体調が安定するまで、こまめに見守りが欲しい場合。
  • 認知症の方: 服薬管理や生活リズムを整えるために、一日に何度も声かけが必要な場合。
  • 看取りを希望する方: 最期まで住み慣れた自宅で過ごしたいと願う場合。

訪問介護と訪問看護が連携しているため、医療的なケアが必要な方にも対応できるのが強みです。

「安心」をさらに盤石にするツールとアクション

定期巡回サービスは強力な味方ですが、より安全な在宅生活を送るために、以下のツールやサービスも併せて検討してみましょう。

1. 民間の「高齢者向け緊急通報システム」

定期巡回サービスは介護保険のサービスですが、それとは別に、民間警備会社などが提供している「緊急通報サービス(見守りセキュリティ)」を導入するのも一手です。
ペンダント型のボタンを首から下げておけば、トイレや浴室で倒れた際もすぐに警備員が駆けつけます。介護スタッフと警備のプロ、二重のセーフティネットがあれば鬼に金棒です。

2. 「配食サービス(安否確認付き)」

食事を届けてくれる「配食サービス」も重要です。
栄養バランスの管理はもちろんですが、「お弁当を手渡しする」こと自体が安否確認になります。「お昼のお弁当が手つかずで残っている」といった異変にいち早く気づくことができます。

3. まずは「地域包括支援センター」へ相談

「定期巡回サービスを使ってみたいけど、うちの地域にあるの?」
そう思ったら、まずは親御さんが住んでいる地域の「地域包括支援センター」に相談してみてください。
このサービスは「地域密着型」といって、住んでいる市区町村の事業者しか利用できません。ケアマネジャーに「夜間が不安なので、定期巡回のようなサービスは使えますか?」と具体的に聞いてみましょう。

まとめ

「施設か、自宅か」の二択ではありません。
便利な制度やサービスを組み合わせれば、「自宅にいながら施設のような安心」を作ることは十分に可能です。

親御さんが一番リラックスできる「我が家」での生活を、もう少し長く続けてみませんか?

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