「お母さん、ご飯だってば!」
「何度言ったらわかるの!」
実家に帰って親御さんと話している時、何度も聞き返されて、つい声を荒らげてしまった経験はありませんか?
「補聴器をつけているのに聞こえないの?」「私の話を聞く気がないのかな」とイライラしてしまうこともあるでしょう。
でも、ちょっと待ってください。
その「伝わらない」原因は、声の大きさではなく、あなたが「話しかける位置」や「周りの環境」にあるのかもしれません。
今回は、難聴の方との会話をスムーズにするための、誰でもすぐにできるテクニックについてお話しします。
「横」ではなく「正面」に座るべき理由
あなたは普段、親御さんのどこに座って話しかけていますか?
「横に並んでテレビを見ながら」あるいは「後ろから声をかける」ことが多いのではないでしょうか。
実は、耳が聞こえにくい方(特に感音性難聴の方)にとって、これらは最も聞き取りにくい状況です。
なぜなら、彼らは耳だけでなく、「相手の口の動き」や「表情」を見て、言葉を補完している(読唇)からです。
横や後ろからでは口元が見えません。だから、音は聞こえていても、言葉として理解できないのです。
正解は、「1対1で、正面に向かい合って話すこと」。
真正面に座り、あなたの顔と口元をしっかりと見せてあげる。たったこれだけで、伝わりやすさは劇的に変わります。
雑音は「会話の邪魔者」です
もう一つ大切なのが「静かな環境」を作ることです。
難聴の方にとって、テレビの音や換気扇の音、街の喧騒などの「雑音」は、会話を遮る大きな壁になります。
健聴者は雑音の中から話し声だけを聞き分けることができますが(カクテルパーティ効果)、難聴になるとこの機能が低下し、全ての音が同じボリュームで頭に入ってきてしまうのです。
大事な話をする時は、
- テレビを消す
- 静かな部屋に移動する
この一手間を惜しまないでください。BGMも消して、静寂の中で向き合うことが、相手への何よりの配慮になります。
左麻痺がある場合の位置取りは?
今回の事例のGさんのように、片麻痺(今回の場合は左麻痺)がある方の場合、一般的には「健側(元気な右側)」から話しかけるのがセオリーとされています。
しかし、難聴によるコミュニケーションのしづらさがある場合は、やはり「口元が見える正面」が優先されます。
「聞こえにくさ」と「体の麻痺」。
両方の特徴を理解した上で、その時々でベストな位置を探してあげることが、心地よい会話への近道です。
まとめ
「聞こえない」というストレスは、孤独感を生み出します。
大声を張り上げる前に、まずはテレビを消して、親御さんの正面に座ってみてください。
しっかりと目を合わせ、ゆっくりと口を動かして話す。
そのあなたの表情を見るだけで、親御さんは「大切にされている」と感じ、安心して会話を楽しめるはずです。
「正面に座って話す」。これがコミュニケーションの鉄則です。
なぜ横ではなく正面なのか。それは難聴の方が「視覚情報(口の動き)」を頼りにしているからです。
この配慮ができるかどうかは、介護のプロとして必須のスキル。あなたの対応が合っているか、実際の試験問題で確認してみましょう。
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