久しぶりに実家に帰ったり、施設に入居した親御さんに面会に行ったりした時、こんな経験はありませんか?
「元気?」
「うん」
「ご飯ちゃんと食べてる?」
「食べてるよ」
「……(シーン)」
会話が続かない。質問しても一言で返されて終わり。
沈黙が気まずくて、つい矢継ぎ早に質問を重ねてしまい、まるで刑事の尋問のようになってしまう……。
「昔はもっと楽しくお喋りしていたのに」と寂しく感じる方も多いでしょう。
実は、高齢者が口を閉ざしてしまうのには、加齢や環境の変化による「戸惑い」が隠されています。
今回は、閉じてしまった親御さんの心を開き、会話のキャッチボール(双方向のやり取り)を取り戻すためのヒントをお伝えします。
なぜ、親は無口になってしまうのか
高齢になると、耳が遠くなったり、言葉がすぐに出てこなくなったりして、会話自体にエネルギーを使うようになります。
また、施設入居や独り暮らしなど、環境が変わった直後は特にそうです。
「変なことを言って笑われたくない」
「何を話せばいいのか分からない」
そんな緊張感や不安から、殻に閉じこもっているケースが少なくありません。
そこで家族が「薬は?」「リハビリは?」と一方的に用件だけを詰め込んでしまうと、親御さんは「私は管理されているだけ」と感じ、ますます心を閉ざしてしまいます。
プロは「待つ」と「あいづち」で会話を引き出す
介護のプロは、利用者さんと話す時、決して一方的には話しません。意識しているのは「双方向のやり取り」です。
1. 「間」を怖がらない
質問した後、親御さんが黙っていても焦らないでください。言葉を探している最中かもしれません。10秒でも20秒でも、ニコニコしながら待ってみましょう。沈黙もコミュニケーションの一部です。
2. 魔法のあいづち「そうなんだ」
親御さんがポツリと何か言ったら、まずは「そうなんだ」「へぇ〜」と肯定的なあいづちを打ちましょう。
「それは違うよ」と否定したり、「で、結論は?」と急かしたりするのはNGです。「聞いてくれている」という安心感が、次の言葉を引き出します。
会話のきっかけを作る「お助けツール」を活用しよう
とはいえ、共通の話題がないと間が持たないのも事実です。
そんな時は、無理に話そうとせず、会話のきっかけを作ってくれる便利なツールやサービスに頼ってみましょう。
1. 孫の成長が毎日届く「デジタルフォトフレーム」
「最近どう?」と聞くよりも、孫やペットの写真を見せる方が、会話は圧倒的に弾みます。
遠隔操作でスマホから写真を送れる「通信機能付きデジタルフォトフレーム」をプレゼントしてみてはいかがでしょうか。
「この写真、どこに行った時の?」「〇〇ちゃん大きくなったね」と、親御さんの方から質問してくれるようになります。
2. 気を使わない話し相手「コミュニケーションロボット」
「人相手だと緊張する」「家族には愚痴を言いづらい」という親御さんにおすすめなのが、「コミュニケーションロボット」や「スマートスピーカー」です。
「今日の天気は?」「歌をうたって」と話しかけることで、発話のトレーニングになりますし、ロボットとの会話をネタに家族との話も盛り上がります。
3. プロの聞き手が人生をまとめる「自分史制作サービス」
今の話はできなくても、昔の話なら生き生きと話せる高齢者は多いものです。
親御さんの人生を聞き書きして一冊の本にする「自分史制作サービス」を利用するのも一つの手です。プロのライターが上手に話を引き出してくれるので、親御さんの自信回復にもつながりますし、完成した本は家族の宝物になります。
まとめ
会話は「情報交換」ではなく「心の交流」です。
内容なんて無くてもいいのです。「あなたの声を聞きたい」「あなたと時間を共有したい」という姿勢で、ゆったりと向き合ってみてください。
今日から「質問」をひとつ減らして、「あいづち」をひとつ増やしてみませんか?
あなたがしている「親の話を聞く」努力、実はプロの技です。
親御さんが話しやすいように「うん、うん」と相槌を打つ。一見普通のことに思えますが、これは介護の専門用語で「双方向のやり取り」と呼ばれる重要なスキルであり、国家試験の正解になる行動なんです。
「私、けっこう上手くできてるかも?」と思ったら、ぜひ実際の試験問題で答え合わせをしてみてください。
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