問8
介護保険制度の給付と利用者負担について正しいものはどれか。3つ選べ。
- 被保険者が災害により住宅に著しい損害を受けた場合には、市町村は、定率の利用者負担を減免することができる。
- 施設介護サービス費に係る利用者負担は、一律2割の定率負担となっている。
- 区分支給限度基準額を超えてサービスを利用した場合には、その超えた部分は3割負担となる。
- 介護保険施設入所者の理美容代は、保険給付の対象とならない。
- 居宅介護サービス計画費については、利用者負担はない。
正解は1・4・5。「無料」と「対象外」のルール
介護保険のお金の話は、原則と例外が入り混じります。
まずは「利用者を守るための特例」と「介護保険では出せないお金」について整理します。
災害時は迷わず減免(選択肢1)
被保険者が災害により住宅に著しい損害を受けた場合には、市町村は、定率の利用者負担を減免することができる。
この記述は適切です。
地震や火災で家を失った人に「介護の1割負担を払え」というのは酷です。
災害や特別な事情(生計維持者の死亡など)がある場合、市町村の判断で負担を減らしたり、免除したりするセーフティネットが用意されています。
散髪代は「おしゃれ代」(選択肢4)
介護保険施設入所者の理美容代は、保険給付の対象とならない。
この記述は適切です。
施設に入っていても、髪を切る(理美容)費用は、全額自己負担です。
これは「日常生活上の個人的な嗜好」とみなされるためです。
オムツ代や食事代は給付や補足給付の対象になりますが、散髪代は完全にサイフが別です。
入り口はフリーパス(選択肢5)
居宅介護サービス計画費については、利用者負担はない。
この記述は適切です。
ケアマネジャーにケアプランを作ってもらう費用(計画費)は、全額(10割)が保険から給付されます。つまり自己負担ゼロです。
「お金がかかるからプランを作らない」という事態を防ぎ、適切な介護への入り口を広く開けておくための措置です。
誤答は2・3。「一律」と「超過」の落とし穴
誤りの選択肢は、負担割合に関する勘違いを誘うものです。
負担割合は「人による」(選択肢2)
施設介護サービス費に係る利用者負担は、一律2割の定率負担となっている。
この記述は不適切です。
「一律」ではありません。
介護保険の利用者負担は、所得に応じて1割、2割、3割の3段階に分かれています。
「お金持ちは多めに払う(応能負担)」という仕組みです。負担割合証を確認しない限り、負担率はわかりません。
枠を超えたら「全額自腹」(選択肢3)
区分支給限度基準額を超えてサービスを利用した場合には、その超えた部分は3割負担となる。
この記述は不適切です。
ここが最大のひっかけです。「3割」ではありません。「全額自己負担(10割)」です。
支給限度基準額とは、「保険が使える上限」のこと。
ビュッフェの制限時間を過ぎたら追加料金がかかるのと同じで、枠を超えた分は介護保険の対象外となり、全額自費で支払うことになります。