「せっかく入れた座薬が出てきちゃった!」を防ぐ鉄則。痛み止めや解熱剤を使う「ベストなタイミング」とは

「熱があるのに薬が飲めない」
「腰が痛くて起き上がれない」

そんな時、飲み薬の代わりに活躍するのが「座薬(ざやく)」です。
胃を通さずに直接腸から吸収されるため、即効性があり、胃への負担も少ないというメリットがあります。

しかし、慣れていないと扱いは意外と難しいもの。
よくある失敗が、「入れた直後に『トイレに行きたい』と言われ、薬がそのまま出てきてしまった」というケースです。
高いお薬が無駄になるだけでなく、もう一回入れていいのか判断に迷ってパニックになりますよね。

今回は、座薬を確実に効かせるための「タイミングの鉄則」と、親御さんが痛がらないスムーズな入れ方のコツについてお話しします。

目次

「入れる前」か「入れた後」か。薬の種類でルールが違う

座薬には大きく分けて2種類あり、それぞれトイレに行くべきタイミングが真逆です。ここを間違えないことが成功の鍵です。

1. 下剤(便秘薬)の場合

ルール:入れてから、トイレに行く
これは当然ですね。便を出すための薬なので、入れてからしばらく我慢してもらい、便意が来たらトイレに行きます。

座薬を使う理由が『便秘』なら、お腹のガス抜きも大切です。薬に頼る前に家庭でできる、お腹のマッサージや食事の工夫も試してみませんか?

2. 下剤以外(解熱剤・痛み止め・吐き気止め)の場合

ルール:トイレを済ませてから、入れる
今回の重要ポイントはこっちです。
これらの薬は、腸の粘膜から成分を吸収させなければ意味がありません。吸収されるには通常15分〜30分程度かかります。
もし直腸に便が残っていると、薬がうまく入らなかったり、刺激で便意をもよおして薬ごと排泄されてしまったりします。

「痛み止めを入れるなら、まずはトイレに行ってから」。
この順番を徹底するだけで、失敗の確率はぐっと下がります。

解熱剤を使う前に確認したいのが『正しい体温』です。しかし、高齢者は熱が出にくいことがあるのをご存知ですか? 体温計の数字に騙されないためのポイントはこちらです。

痛くない!スムーズな入れ方の3ステップ

「痛いから嫌だ」と拒否されないために、プロが実践しているテクニックをご紹介します。

ステップ1:準備(冷やす・滑らす)

座薬は体温で溶けるように作られています。手で持っているだけで溶けてしまうので、入れる直前まで冷蔵庫に入れておき、固い状態を保ちましょう。
入れる時は、座薬の先端に少量の水やワセリン、オリーブオイルなどを塗ると、スルッと入って痛くありません。

ステップ2:姿勢(「シムスの体位」が最強)

親御さんには、「横向き」に寝てもらいます。
そして、下になっている足は伸ばし、上になっている足(膝)を曲げてお腹の方に引き寄せます。
この姿勢(シムスの体位)をとると、お尻の筋肉が緩み、肛門が自然と開きやすくなります。

ステップ3:挿入(尖った方から奥まで)

座薬は、「尖っている方」から入れます。
ためらわずに、人差し指の第二関節くらいまでしっかりと奥へ押し込みます。浅いと、括約筋の反射でポンッと飛び出してきてしまいます。
入れた後は、ティッシュで肛門を軽く押さえ、「深呼吸して〜」と声をかけて力を抜いてもらいましょう。1〜2分じっとしていれば、薬が溶けて出てこなくなります。

ヘルパーさんにも頼めるようになりました

以前は「座薬を入れること」は医療行為とされ、家族か看護師しかできませんでした。
しかし現在は、規制が緩和され、以下の条件を満たせば「介護福祉士などのヘルパーさん」でも座薬(下剤以外も含む)の挿入ができるようになっています。

  • 容体が安定していること
  • 医師や看護師の指示があること
  • 便秘や出血などの異常がないこと

「どうしても自分では怖い」「仕事で帰りが遅くなる時に薬を使ってほしい」という場合は、ケアマネジャーに相談してみてください。

まとめ

座薬は、口から薬が飲めない時の命綱です。

「トイレは済んだ? じゃあ、お薬入れて楽になろうね」
この一言の確認と、ちょっとした準備で、親御さんの苦痛を素早く取り除いてあげてください。

座薬だけでなく、インスリン注射や経管栄養など、自宅で行う『医療処置』に不安はありませんか? 家族がどこまでやっていいのか、基礎知識をまとめておきましょう。

「下剤以外は排泄の後」。これが座薬ケアの鉄則です。
薬を確実に吸収させるためのこの手順は、介護福祉士の国家試験でも正解となる重要な知識です。また、介護職が座薬を扱える条件についても知っておくと便利です。
「プロと同じ知識を持ってた!」と確認したい方は、ぜひ実際の試験問題に挑戦してみてください。
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