【第27回】ケアマネ試験過去問 問1〜10 解説|介護支援分野

目次

問1

わが国の近年の介護を取り巻く状況の説明として適切なものはどれか。3つ選べ。

  1. 介護を要する高齢者を同居している高齢者が介護する「老老介護」は、減少傾向にある。
  2. 育児と介護を同時に担う「ダブルケア」が課題となっている。
  3. 「ヤングケアラー」への支援が課題となっている。
  4. 介護者が仕事と介護を両立できるよう、法律により介護休暇及び介護休業が制度化されている。
  5. 特別養護老人ホームなどの老人ホームでの死亡者数は、減少傾向にある。

正解は 2、3、4 です。

日本の社会構造や家族形態の変化を反映した3つの選択肢が正しい記述です。選択肢2の「ダブルケア」は、晩婚化や晩産化の影響で、子育ての時期と親の介護の時期が重なる世帯の負担を指し、現代の重要な生活課題になっています。選択肢3の「ヤングケアラー」は、本来大人が担うような家族の世話や介護を日常的に行っている子どもたちを指し、学業や進路への影響が深刻化したことから、法改正を伴う公的な支援体制の整備が急がれています。選択肢4は、「育児・介護休業法」に基づき、要介護状態の家族を抱える労働者の権利として、短期の介護休暇や分割取得が可能な介護休業が法的に義務づけられています。

【他の選択肢が誤りである理由】

  • 選択肢1(誤り):厚生労働省の「国民生活基礎調査」によると、同居している主な介護者と要介護者の双方が65歳以上である「老老介護」の割合は、一貫して上昇傾向にあります。現在は全体の6割を超えており、過去最高を更新し続けています。
  • 選択肢5(誤り):厚生労働省の「人口動態調査」において、死亡の場所別の内訳を見ると、「老人ホーム」での死亡者数や全体に占める割合は年々増加しています。これは高齢化の進展だけでなく、施設における「看取りケア」の普及を裏付けるデータとなっています。

問2

2021(令和3)年度末における全国の要(支援)認定者数の状況として正しいものはどれか。2つ選べ。

  1. 要介護(要支援)認定者のうち、第2号被保険者の占める割合は30%を超えている。
  2. 第1号被保険者に占める要介護(要支援)認定者の割合は40%を超えている。
  3. 85歳以上の被保険者のうち、要介護(要支援)認定者の占める割合は50%を超えている。
  4. 要介護(要支援)認定者数は男性より女性の方が多い。
  5. 要介護(要支援)状態区分別でみると、認定者数が最も多いのは、要介護5である。

正解は 3、4 です。

厚生労働省の「介護保険事業状況報告(令和3年度年報)」のデータに基づいた確実なファクトチェックによる解説です。選択肢3について、年齢階級別の認定者割合を見ると、80〜84歳では3割弱ですが、85歳以上になると5割を超え、年齢が上がるにつれて認定率が急上昇する実態が証明されています。選択肢4について、第1号被保険者における男女別の要介護(要支援)認定者数は、すべての年齢階級において女性が男性を大きく上回っており、全体の約7割を女性が占めています。これは日本の平均寿命の男女差(女性の方が長寿であること)などが影響しています。

【他の選択肢が誤りである理由】

  • 選択肢1(誤り):全国の要介護(要支援)認定者数のうち、40歳以上65歳未満の「第2号被保険者」が占める割合は、例年わずか2%程度(約11万〜13万人)に過ぎません。全体の98%近くは65歳以上の「第1号被保険者」が占めています。
  • 選択肢2(誤り):第1号被保険者(65歳以上の高齢者)の総数に対する要介護(要支援)認定者の割合(出現率)は、全国平均で約18〜19%(およそ5人に1人)となっています。40%という数値は過大であり不適切です。
  • 選択肢5(誤り):要介護(要支援)状態区分別で認定者数が最も多いのは「要介護1」であり、次いで「要支援1」「要支援2」などの軽度・中等度層が上位を占めます。最重度である「要介護5」の認定者数は全体の中で最も少ない割合にとどまります。

問3

介護保険法に定める医療保険者の事務と正しいものはどれか。2つ選べ。

  1. 第1号被保険者の保険料の特別徴収を行う。
  2. 第2号被保険者の保険料を徴収する。
  3. 社会保険診療報酬支払基金に対し、介護給付費・地域支援事業支援納付金を納付する。
  4. 市町村に対し、介護給付費交付金を交付する。
  5. 市町村に対し、地域支援事業支援交付金を交付する。

正解は 2、3 です。

介護保険法第121条〜第124条等の規定に基づき、40歳以上65歳未満の「第2号被保険者」の保険料は、各医療保険者(健康保険組合や全国健康保険協会、国民健康保険など)が一般の医療保険料と一括して徴収します。各医療保険者は、集めた保険料を「介護給付費・地域支援事業支援納付金」として、国の指定する回収・仲介機関である「社会保険診療報酬支払基金(支払基金)」へと納付する義務を負っています。

【他の選択肢が誤りである理由】

  • 選択肢1(誤り):65歳以上の「第1号被保険者」の保険料について、年金からの天引きを行う「特別徴収」の事務を担うのは、医療保険者ではなく日本年金機構などの「年金保険者」です。
  • 選択肢4(誤り):支払基金が各医療保険者から集めた納付金を財源として、保険者である「市町村」に対して医療保険者の代わりに手渡すのが「介護給付費交付金」です。医療保険者が直接市町村に交付するわけではありません。
  • 選択肢5(誤り):介護給付費交付金と同様に、地域支援事業(市町村独自の事業など)の財源として支払基金から市町村へと交付されるのが「地域支援事業支援交付金」です。こちらも交付の主体は支払基金となります。

問4

介護保険法に定める都道府県の責務として正しいものはどれか。2つ選べ。

  1. 介護報酬の算定基準を適切に設定しなければならない。
  2. 介護保険事業の運営が健全かつ円滑に行われるように、必要な助言及び適切な援助をしなければならない。
  3. 介護保険事業が効率的に行われるように、年金保険者を指導・監督しなければならない。
  4. 認知症に関する知識の普及及び啓発に努めなければならない。
  5. 高齢者が経済活動に参加することを促さなければならない。

正解は 2、4 です。

介護保険法第5条第2項および第3項に規定されている都道府県の責務に関する問題です。選択肢2について、都道府県は介護保険の保険者である市町村をバックアップする立場にあり、同法第5条第2項において「市町村が行う介護保険事業の運営が健全かつ円滑に行われるよう、必要な助言及び適切な援助をしなければならない」と義務づけられています。選択肢4について、同法第5条第3項において「国及び地方公共団体(都道府県・市町村)は、認知症に関する知識の普及及び啓発その他の認知症に関する施策を総合的に推進するよう努めなければならない」と定められており、都道府県の努力義務に該当します。

【他の選択肢が誤りである理由】

  • 選択肢1(誤り):介護報酬の算定基準(指定居宅サービス等、各サービスの支給限度基準額やサービス費の判定基準など)を定めるのは、都道府県ではなく「国(厚生労働大臣)」の権限であり、全国一律で設定されます。
  • 選択肢3(誤り):日本年金機構などの年金保険者は国の機関等であり、都道府県が指導・監督を行う権限はありません。介護保険法において、都道府県に年金保険者への指導・監督を義務づけるような規定は存在しません。
  • 選択肢5(誤り):介護保険法第5条等に定められている国や地方公共団体の責務は、高齢者の「心身の健康の保持」「福祉の増進」や「自立した日常生活の支援」などです。「経済活動への参加を促すこと」は法律上の都道府県の責務として規定されていません。

【問5】第1号被保険者の要件と資格喪失

【問題】介護保険の第1号被保険者について正しいものはどれか。2つ選べ。

  1. 市町村の区域内に住所を有する65歳以上の者をいう。
  2. 保険給付の対象となるのは、特定疾病を原因として要支援・要介護状態になった者に限られる。
  3. 保険料は、地域支援事業の任意事業の財源に充当される。
  4. 居住する市町村から転出した場合は、その翌月から転出先の市町村の被保険者となる。
  5. 医療保険加入者でなくなった日から、第1号被保険者の資格を喪失する。
第1号被保険者とは65歳以上の住民を指し、その保険料は地域支援事業の任意事業の財源にも充てられます。給付対象に原因(特定疾病)が限定されることや、資格喪失に医療保険の有無が関わるのは第2号被保険者の特徴であり、第1号には当てはまりません。

【問6】区分支給限度基準額の対象サービス

【問題】区分支給限度基準額が適用されるサービスとして正しいものはどれか。3つ選べ。

  1. 訪問介護
  2. 地域密着型通所介護
  3. 居宅療養管理指導
  4. 認知症対応型通所介護
  5. 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
訪問介護やデイサービス(地域密着型含む)などの主要な居宅サービスは、区分支給限度基準額の対象となります。一方で、医師らによる居宅療養管理指導(代替性がない)や、施設入所系サービス(包括報酬)は対象外となります。

【問7】市町村長が指定するサービス(権限)

【問題】市町村長が指定する事業者が行うサービスして正しいものはどれか。3つ選べ。

  1. 居宅介護支援
  2. 通所介護
  3. 認知症対応型共同生活介護
  4. 介護予防短期入所生活介護
  5. 介護予防支援
介護サービスの指定権者は、原則として都道府県ですが、地域密着型サービス(グループホームなど)と居宅介護支援・介護予防支援(ケアプラン作成)については、より身近な市町村が指定を行います。

【問8】利用者負担と減免・給付

【問題】介護保険制度の給付と利用者負担について正しいものはどれか。3つ選べ。

  1. 被保険者が災害により住宅に著しい損害を受けた場合には、市町村は、定率の利用者負担を減免することができる。
  2. 施設介護サービス費に係る利用者負担は、一律2割の定率負担となっている。
  3. 区分支給限度基準額を超えてサービスを利用した場合には、その超えた部分は3割負担となる。
  4. 介護保険施設入所者の理美容代は、保険給付の対象とならない。
  5. 居宅介護サービス計画費については、利用者負担はない。
介護保険の利用者負担は、所得に応じて1割〜3割で変動し、区分支給限度基準額を超えた分は全額自己負担となります。一方で、ケアプラン作成費(計画費)は自己負担ゼロであり、災害時などには負担の減免措置もあります。また、施設での理美容代などは保険給付の対象外です。

【問9】高額介護サービス費の支給要件

【問題】高額介護サービス費について正しいものはどれか。2つ選べ。

  1. 世帯単位で算定される。
  2. 地域密着型サービスの利用に係る利用者負担額は、支給の対象とならない。
  3. 同一世帯に住民税が課税されている者がいる場合には、支給の対象とならない。
  4. 利用者の負担上限額は、6月単位で設定されている。
  5. 利用者の負担上限額は、所得によって異なる。
高額介護サービス費は、利用者の負担軽減のため、世帯単位で利用者負担額を合算し、所得に応じた月単位の上限額を超えた分を支給する制度です。地域密着型サービスも対象であり、課税世帯であっても上限を超えれば支給されます。

【問10】市町村介護保険事業計画

【問題】介護保険法に定める市町村介護保険事業計画について正しいものはどれか。3つ選べ。

  1. 市町村老人福祉計画と一体のものとして作成されなければならない。
  2. 市町村地域福祉計画と調和が保たれたものでなければならない。
  3. 介護保険施設の種類ごとの必要入所定員総数の見込みを定めなければならない。
  4. 各年度における地域支援事業の量の見込みを定めるものとする。
  5. 計画期間は、5年を1期とする。
市町村介護保険事業計画は、市町村老人福祉計画と一体のものとして作成し、市町村地域福祉計画と調和を保つ必要があります。計画期間は3年を1期とし、地域支援事業の見込み量などを定めますが、施設の入所定員総数を定めるのは都道府県の役割です。

【第27回】ケアマネ試験過去問へのリンク

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