高齢者は私たちと同じです
介護をしているとどうしても高齢者は高齢者とひとくくりにして考えがちです。
しかし、高齢者とひとくくりにしてしまいますと、その人の本当の姿は見えてきません。
実際の事例にもとづいてご紹介していきます。
遠足前に不眠になった高齢者
Aさんは車椅子で足が不自由です。介護施設に入って3年が経ちます。最近は若干物忘れ(認知症)があります。
明日はさしぶりの家族との外出です。
いつもは20時には寝るAさんは、22時になっても、0時になっても寝ません。結局3時まで起きていました。
そんなAさんを見た介護士の方は「Aさんは認知症が進んできて、昼夜逆転気味になってしまった」といいました。
この介護職の認識は正解なのでしょうか。
高齢者が夜起きて、昼間寝てしまう昼夜逆転はよく有りますし、認知症の方に関してはこのようなことは多いです。
しかし、Aさんは単純に明日外出するのが楽しみだったので、寝れなかったという認識の方が自然です。
これは私たちでも同じことです。私たちが小学生の頃に遠足前はなかなか寝れなかったということがあるように、Aさんでも同じことは起きます。
高齢者だから、認知症だからとひとくくりにしてしまうと、その人の本質が見えなくなってしまいます。
食事を食べれない人が、お寿司を食べた
Bさんは自分で食事を食べる事が出来ないので、介護職が食事介助をしていました。
最近はめっきり食事の量が減ってしまっています。食事介助をしても口を空けようとしません。
ある日家族の方がお寿司を持ってきました。
あれだけ食事を食べないでいたBさんは、家族が持ってきたお寿司を全て食べてしまいました。
これには介護職も驚きました。いつもは全く食べないのに、お寿司なら全部食べてしまうんだと。
Bさんにとっては普段出る食事はあまりおいしくないと感じていたのでしょう。
しかし、昔からの好物であるお寿司に関しては、食欲が進んだといえます。
介護施設に入っているからといって、そこで出る食事だけ食べていればいいという訳ではありません。
家族に買ってきてもらう、家族に了解を得て買いに行くな、どのようにして美味しく食べてもらうのかを考えることも介護職の役割になってきます。
高齢者だからといって、我慢することは一切ありません。
胸が高まる気持ち、食べたいものを食べる気持ちなどは私たちと同じように持っています。
私たち介護職はその気持ちをしっかりと理解して対応することが大切になります。