ある地方都市の朝、車に自分で乗れる年代の高齢者、60歳台の人から90歳台の人まで年齢も様々。
男女比率からすると女性の方が明らかに多い。地元のスポーツクラブに集まるいつもの風景です。
午前10時の受付開始を待つ一団で、馴染みの人ばかり。
受付前のホールではみんな生き生きとしており、下を向いた悲しそうな人は1人もいない。
知っている人ばかりですから、会話もはずむ。
午前10時受付開始、いつものように整然と並んで、簡単受付、タオルとバスタオルを1枚ずつもらって、男女別のロッカーへ、トレーニングウエアーに着替える。
そして順番に運動前の体重、血圧、脈拍を計測、自分のカルテに記入。
各自一斉に各々の運動メニューに従ってトレーニング開始。
ストレッチや筋トレ、有酸素運動など各種の場所、機械、器具を使用して、黙々とこなす。
と言いたいところですが。実際はもう少しくだけています。
一生懸命、淡々と運動している人ももちろんいますが、仲間との友好を温めている人もいれば、明らかに知り合いとの会話を楽しんでいて、トレーニングはどうでもいい人もいます。
あっちの顔なじみとおしゃべり、今度はこっちの知り合いとおしゃべり、館内をうろうろ。うろうろ。
いつも決まった人ですが。
スポーツジムがサロン化しているのです。
ジムに通ういわゆる高齢者は自分が高齢者である自覚はほとんどありません。
高齢者と言われたり、年寄り、とか老人とは呼ばれたくないのです。
みんな元気です。
年寄りが集まるとその話題のトップスリーは1位が病気、2位が孫の話、3位が年金の話です。
このジムでも同じような傾向ですが、みんな明るいです。がんで入退院を繰り返す人も明るいです。
何でしょう、この明るさは。
このジムに通うことが実は生きがいになっているのです。
健康維持だけのために通っているのではなく、仲間とのおしゃべり、仲間づくりの方がむしろ通う目的となっています。
ジムの運営側も当然このことは理解しており、インストラクターもトレーニング指導と合わせて、時にはおしゃべりに加わってきます。
しっかり汗をかきながら、若い女性のインストラクターの個人指導を受け、たまには孫の話に乗ってもらえう。
高齢者男性にとっては、実に楽しい時間が持てるのです。
女性生徒はもっと元気です。午前中は有酸素運動と筋トレ、午後はプールでのメニューをこなす。
従って仲間との昼食が最大のイベントで、弁当と着替えで荷物は毎日夜逃げスタイルでとても多い。
ほぼ1日中、ジムにいます。
高齢者と呼ばれる人たちのスポーツジム通い、ますます増加しています。
高齢者専門のスタジオを設置するジムも最近ではでてきました。
しかし、60歳後半から80歳前半まで、こんなに元気な人がいっぱいいるのに、これを労働資源として使おうとしない政府の考え方が理解できない。
未だに60歳定年を設けている企業がほとんどですが、社会のシステムが完全に老化しています。
高齢者はまだまだ元気です。
働く現場の整備は急務です。