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老人ホームの探し方

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老人ホーム

あなたは介護職の人ってどういうイメージをお持ちですか?

優しい人、いい人。周りとの和をとても大切にしていて、気が利いてよく働いて、汚い仕事も笑顔で快く引き受ける穏やかな人…

そう思いますか?本当に?

少なくとも私は違います。

正直、気難しいじじばばはめんどくさいし、モンスターペアレンツならぬモンスターチルドレン(いや、ファミリー?)には極力関わりあいたくないし、実際の介護だって汚いものは汚い。

個人としてはゆとり世代で自己中心的だし、サービス残業なんて極力ごめんこうむりたいし、有休を取るためなら涼しい顔をしてそれっぽい理由をでっちあげます。

何が言いたいのかと言うと。

老人ホームを探すと決めたら、まずすることは先入観を捨てることです。

もしもあなたが冒頭のような介護職のイメージをお持ちであれば、それはひと昔前の人が看護師さんを「白衣の天使」などと呼んでいたという事件に近い勘違いです。

そんな博愛の精神に満ち満ちた奇特な天然記念物は、そりゃあどこかにはいるのかもしれませんが、現代日本の要介護高齢者の数に見合うだけの人数を確保できることなんてまずないのです。

このコラムはこんな自分勝手な人間が現場スタッフとして様々な現場を見て、ホームの入居者さん、同僚である周りのスタッフ、ご家族と接し、自身の祖母と大叔母の介護に関わった末最後を見送り、相談員としていくつかのケースの相談を受ける中で考える「老人ホームの選択」についてかけいていきます。

老人ホームに入居すれば、優しい介護士さんが手取り足取りかいがいしくお世話してくれる。ホームを決めて入居すれば、本人も家族もこの先ずっと安心でハッピー…

な~んて幻想は捨てて、冷静になって終の住処を探す覚悟を決めましょう。

元気だった父(母)が突然入院した。しばらくして医師に、治療は終わったので退院してくださいと言われた。病気の治療は終わったのかもしれないが、どう見ても今までの生活が送れるとは思えない。え?退院?

困りますね。頭の中が真っ白です。動悸がして何も考えられない。病院の相談員さんが色々な話をしてくるけれど、半分も頭に入らない。

頭が真っ白なまま逃げるように家に帰ってきた…

これからあなたは両親(と、仮定しましょう)の入居するホームを探すわけですが、老人ホーム探しというのは大変です。

いや、どこでもいいから単に入れてくれるホームを探せれば言い、3食出してくれてベッドが確保できればそれでいい。と言うのなら案外簡単かもしれません。

入院中なら病院の相談室のソーシャルワーカーさんに月々に出せる金額を伝え、言われるがままに転院先や施設に見学に行って申し込めばそれでいいし、家にいるのであればケアマネージャーさんに相談して候補を挙げてもらったり、市役所に相談に行ったりインターネットで検索してよさそうなところに申し込めばいいのですから。

私がご提案したい老人ホーム探しのプロセスは、普通より時間や労力を要する方法かもしれません。早くても1か月、普通にやって2~3か月は週休2日のうちのどちらか1日を費やす覚悟で臨んでいただきたいのです。

そんなに時間がかかるのか!と、お思いかもしれませんが、老人ホームを探す、つまりはほとんどの場合終の棲家を探すということは、本当に人生の最後を過ごす場所を決めるということです。あなたはこれから家を買おうという時に、どれくらいの時間と労力を注ぎますか?

収入と支出を考えて予算を出し、パンフレットを集めていくつもの住宅展示場に足を運んで話を聞き、立地や日当たり、家族とのライフプランに思いを巡らせながら少しでも理想に近い住処を得ようと頑張るはずです。

そのくらいの姿勢で臨んでほしいのです。

老人ホームでの生活というのは、外出の機会は減っていくことが想定され、家族が来なければ食事はホームで出されるものだけ、介護度が重くなってくれば本当に365日ホームの中だけで過ごすなんてこともざらです。もし自分がその生活を送らなければならないとしたらどうでしょう。

介護老人保健施設で相談員をやっていたとき、相談に来るご家族のこのことに対する想像力がとても乏しいと感じました。

皆さんそれぞれ切羽詰まった状況を抱えており、仕事でも責任のある立場にあって子どももいる現役世代がほとんどですから、気持ちは分かります。今まで両親の生活のことを深く考えることなどなかったでしょう。

病院から一日も早く退院してくれとプレッシャーをかけられている場合もあるし、介護者の奥さんが限界の限界まで自宅で頑張ってしまい、今にも共倒れという段階にまで来てしまってから施設を探し始めたり…

切羽詰まった状況を抱え、どうすればいいのか分からない中人づてに聞いた話でここまで相談に来た。

なんだかよく分からないがとにかく施設に入ってしまえば安心だろう…という感じです。

実際、今の高齢者は住めば都が恐ろしく上手です。

戦中戦後を生き抜いて、ご近所さんや親せきと上手に付き合い協力しあい、家庭を切り盛りして子どもを育てた。団体生活にも慣れているし、人に何かしてもらったら感謝こそすれ文句を言うなんてそうそうない。

「私は置いていただけるならどこでもいいのです。」「ずっと今のところにいたいんです。」
何度その言葉を聞いたことでしょう。確かに入所している本人たちを見ているとそんなに不満はなさそうでした。

でも、本当にそうでしょうか。私たちはそこに甘えすぎているのではないでしょうか。どのような気持ちからその言葉が出てくるのか、真剣に考えてみたでしょうか。

家族に手間と負担をかけさせる負い目、行くところがないのではないかという不安、自分のことが自分でできなくなってしまった歯がゆさ、無力感。現状を変化させて行動を起こすことへの躊躇、倦怠感…

そんな後ろ向きの背景からくる言葉では、ないでしょうか。

厳しいようですが、これは現場スタッフとしての自分自身の日ごろの態度への問いであり、とりあえず現状を何とかできれば言い、本人がどこでもいいと言っているのだから、そんなに労力を割いて探すことはないんじゃないかというご家族に対する問いです。

そして、家族を老人ホームに入れることへの負い目を感じている方も多いと思います。

本人が嫌がれば長期戦にもなりますし修羅場になることもあります。

逆に 炊事洗濯をしなくていいのなら施設の方が楽。でも、色々探すのは大変だしこの年になると引っ越しも大変で面倒なのよ。というおばあちゃんも少なからずいます。

一度は自宅へ帰す、一緒に住むという選択肢も真剣に考えてください。

考えた上でホームを探すという決断をしたのであれば一生懸命探してください。そして、いい時も悪い時も、家族として最後まで関わるという覚悟を決めてください。

あなたにはあなたの生活があり、一生懸命可能性を模索してから決めたのであれば後ろめたく感じる必要はありません。

負い目を感じたり安心しきったりして家族が会いに来ないという状況が、本人は一番悲しくて寂しいのだということを忘れないでください。

これまでどんな関係だったかは分かりませんが、長い間家族として時間を共にしてきた両親への、最後にして最大のプレゼントを選ぶつもりでじっくりと、わくわくした気持ちで考え、探してほしいのです。

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