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介護老人保健施設ってどんな所?

更新日:

介護老人保健施設について書きたいと思います。

介護老人保健施設とは「要介護者に対し、施設サービス計画に基づいて、看護、医学的管理の下における介護及び機能訓練その他必要な医療並びに日常生活上の世話を行うことを目的とする施設」です。

費用は入所の場合月に13~15万円くらい(負担限度額認定証なしの場合)でしょうか。
個室や2人部屋だった場合、個室代などは別にかかります。

ポイントは2つあり、「看護、医学的管理の下に」と「機能訓練を行う」ことです。

介護老人保健施設の施設長はお医者さんでなければならず、24時間看護師さんがいます。

このため、夜間の痰吸引など看護師でなければできない処置が必要な方も利用できます。

そして、もうひとつ「機能訓練」という特徴から、リハビリの専門職である理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などが常駐しています。(特養の定義にも機能訓練という文言が入っていますが、こちらには専従のリハビリスタッフがいるという話はあまり聞いたことがありません。)

以上のように介護老人保健施設とは入所して日常生活を送りながらリハビリをし、加えて在宅復帰、つまり家に帰ることを目指す施設です。

老健の特徴は何といってもリハビリです。

リハビリの専門スタッフがマンツーマンでついてリハビリをしてくれます。その頻度は大体週に3~5回、1回20分くらいです。個人差はかなりありますが、退院したばかりの時や家にこもっているうちに動けなくなってしまった人など、立てなかった方が平行棒につかまって歩けるようになることもあります。

しかし、ここで覚えておいていただきたいのは、老健はあくまでも介護施設だということです。

老健のリハビリというものは病院でやるほど積極的なものではありません。本人のやる気や認知症の具合にもよりますが、現在の状態の維持が第一目標で状態が上がれば万歳だと考えるくらいがちょうどいいかもしれません。しかし、介護施設においては、リハビリに力を入れているというカテゴリーにおいて筆頭に上がることは確かです。

もう一つ、先程お話しした週3回以上というリハビリの頻度は、受けられる期限が決まっており、多くの場合最初の3ヶ月までです。
これを過ぎるとリハビリの回数は減り、週に1回くらいになります。
これが多くの老健の入所期間が3ヶ月だと言われるゆえんですが、理由は介護報酬上のものです。細かく言うと例外もあるのですが、たいていの場合3ヶ月だと思っていて問題ないと思います。
皆さんじっとしていればどんどん衰えていく年齢ですから、ご本人に抵抗感がなければ日常的なリハビリには何らかの効果が期待できると思います。一人でいるとやらない運動も、他の人もやっているならと参加したり、広い施設で自然と歩く距離が伸びたりと活動性が上がります。
そこにリハビリの専門職に効率的なトレーニングや体の動かし方を教えてもらえば、自宅に帰ったときに役に立つでしょう。
老健を上手に利用したいものです。

老健の特徴のひとつとして、医療に手厚い、ということが挙げられます。
老健の施設長は医師です。看護師も24時間います。

だから夜間に医療処置が必要な人も利用できるのですが、そこはやはり介護施設なので、看護師さんの数も病院ほど多くありません。対応に限界があるため医療処置が必要な人の受け入れ人数を制限していたり、処置によっては後に紹介するショートステイのみとしているところもあります。

また、少数ですが老健では看取りを行っていることもあります。看取りとは、死ぬまでそこで過ごすことです。

夜間の医療処置が必要なため特養には居られない人を受け入れていたりと理由は様々ですが、個人的な感覚ではこれは狭き門です。

100床規模の施設でも看取りまでを予定して受け入れている人は多くて2~3人でしょう。何度もリピート利用をして、本人ともご家族とも施設側が良好な関係を築けている場合が多いと思います。

そして、ここまでくれば感づいている方も多いと思いますが、老健はずっといられる施設ではありません。

在宅復帰を目標としているという建前の施設ですから、多くは3ヶ月~1年くらいで退所しなくてはならないのです。

まず、基本的には3ヶ月だと思っていた方がいいでしょう。施設側の事情から考えると、介護報酬上やった分だけリハビリの料金が取れるのは基本的に最初の3ヶ月だけです。3か月を過ぎてしまうと週に何回リハビリをしてもリハビリ料金の請求はできません。そういう制度なのだから、できないものはできないんです。

いくら公的な施設だといっても、リハビリスタッフを配置しておいて料金が取れないのでは経営が成り立ちません。

それに、本来老健は家に帰れる見込みのない人をダラダラと入所させておくところではありません。

新しい人をどんどん迎え入れてリハビリをし、在宅サービスを使いながらでも自宅で生活できるようにするための施設です。

あまり「住む」ということに重点を置いた施設ではないので、家に戻ることができないのであればほかの居場所を探した方がご本人のためにもいいと思います。

少し脱線してしまいましたが、そういうわけで多くの場合、大体3~12ヶ月を目途に退所してくださいと言われるかと思います。

実際には3ヶ月以上いる人もいますが、それはたまたま利用者さんが少ない時期で次の利用者さんの申し込みがあまりないとか、施設の方針で特に在宅復帰に力を入れていないとか、ご本人とご家族があまりにいい人だったとか、とにかくおそらく施設側の都合でしょう。

どちらにせよ看取り適用でなければいつかは退所してくださいと言われるのだから、それを踏まえた利用の仕方をするべきです。

老健のそれぞれのサービスについて紹介したいと思います。

 

老健を使いながらの在宅生活の勧め

 

在宅サービスを使いながら少しでも長く家での生活を続けられれば、最終的に老人ホームを探すとしても吟味する時間が生まれます。

限界まで家族だけで頑張ってしまい、精神的にも身体的にも疲弊した状態では、とてもじっくりとホームを探そうなどという気持ちにはなれないでしょう。

老健などの在宅サービスを使いながら生活することは少しでも長く今の生活を続けることと共に、納得いく老人ホーム探しのための手段でもあるのです。

 

私は在宅サービスについては詳しくないので老健で使えるサービスに限定して書きますが、泊りのサービスは介護が大変になってきたときのサービス選択の骨格になると思います。

状況に応じて軸になるサービスを考え、担当のケアマネージャーさんなど在宅サービスに詳しい人と相談して、色々なサービスを組み合わせて肉付けしていくとベストなサービスを選択できるように思います。

 

多くの老健には、デイケア、ショートステイ、入所と3つの利用方法があります。

デイケアとショートステイは在宅サービスなので、費用は多くても各介護度の上限まで。

 

介護保険の在宅サービスは、1割負担で使えるサービスの量に制限があります。

この各介護度の上限は、介護度1ならひと月に16,692円、介護度5なら36,065円です。(個室代など特別な出費は保険外で別料金です。)

車いすのレンタルや、ホームヘルパーさんに来てもらうサービス等も全て含めてこの上限内に納めないと、上限を超えた分は1割負担ではなく全額自己負担になるので相当な額になってしまいます。

 

通常は担当のケアマネージャーさんに相談し、上限の範囲内でのサービス利用の計画を提案してもらいます。

 

デイケアについてです。

 

まず、デイケアは元気なうちから使った方がいいと思います。

元気といっても要支援もつかないほど元気なうちは使えませんから、何らかの認定はもらっていることが前提ですが、ご本人もご家族も早いうちから介護保険のサービスを使うことに慣れておくと雰囲気などが分かっていいんじゃないかと思います。行ってみてどうしても嫌だったらやめればいいんですから。

 

要支援がつけば老健でやっているデイケアが使えます。

デイケアとは在宅サービスのひとつで、デイサービスのように自宅に迎えに来てくれて、帰りは家まで送ってくれるサービスです。

デイサービスとの違いは、やはりリハビリです。お昼ご飯が出たりお風呂に入れてもらえるのはデイサービスと変わりませんが、それに加えて理学療法士などのリハビリ専門職がリハビリをしてくれます。

時間も大体朝から夕方までですが、施設によってはリハビリだけに特化した短時間リハビリというものをやっていることろもあります。短時間リハビリとは、午前中だけとか数時間だけの時間設定で、リハビリをしたら帰るというものです。

 

リハビリがある分介護報酬の点数が高めなのが難点で、介護度が低い場合デイケアを使うと他のサービスがあまり使えないこともあります。気に入ったデイサービスがあるのであればもちろんそちらに行けばいいですし、デイケアとデイサービスの二つに行くこともできるのですが、お年寄りがデイサービスに行くのを拒むというのはよく聞く話です。

「あんなところに行く意味が分からない」「子供っぽいゲームや歌なんぞ性に合わん」というのは王道の断り文句ですが、私自身人見知りなので既に人間関係が出来上がっているであろう団体に新参者として入っていくのは尻込みするし、正直面倒で嫌だなあと思います。

 

しかし、家族としてはそうもいっていられない。同居であれば仕事に出ている間家に一人にしておくのは心配だし、一緒に暮らしていなければ誰かが定期的に様子を見てくれれば安心でしょう。

しかし本人は嫌がっている。

 

このような膠着状態のとき、取っかかりとしてリハビリは使えると思います。「体のために運動した方がいいし、おじいちゃんも最近足腰が弱ってきたように見えて心配だから、週に何回かリハビリに行ってきてほしいんだ。」と根気強く言えば、もしかしたら行く気になるかもしれません。理学療法士などの専門スタッフは職人気質の人も多いですし、知識も豊富なので特に男性はハマると熱心にリハビリに取り組みます。目当ての女性リハスタッフとリハビリをしたいがために奮闘する爺様も時々見かけます(笑)

もちろんリハビリも頑張っていい効果が得られればいうことはありません。

最初は短時間から始め、顔見知りができて慣れてきたら少しずつ一日の利用に移行、そのうちお風呂にも…というのは虫が良すぎでしょうか。

最近はデイケア、デイサービスのアクティビティも色々工夫されているので、友達ができたりすればご本人も楽しめると思うのですがいかがでしょう。

 

老健利用のショートステイ

 

ショートステイとは在宅サービスのひとつで、1泊から数週間施設に泊まるサービスです。

老健のショートステイとほかのショートステイの違いは、やはりリハビリがあること、夜間看護師さんがいることです。看護師さんがいる分、夜間の痰吸引が必要などの理由でほかのショートステイは利用できない人も利用できる場合があります。

また、多くの老健はデイケアと同じ建物の中でショートステイをしています。フロアは入所と同じだったりもます。デイケア、ショートステイ、入所共に同じリハビリスタッフがリハビリをしていることもありますのでデイケアに通っていればショートステイを利用した時に顔見知りに会えるかもしれません。全く知らないところに行って泊まるよりはご本人の抵抗感も少ないように思います。

 

ショートステイも在宅サービスなので要支援から使えるサービスです。

ただ、泊りのサービスなので介護保険の点数を喰います。

要支援の場合、限度額を全部ショートステイに使ったとしても月に一週間行けないくらいでしょう。老健のショートステイはリハビリがあったり看護師さんがいる分、普通のショートステイより更に点数も喰いますので、介護度が低いうちは利用できる期間も短くなります。

要介護3以上になれば月に15日ほどショートステイに行っても家にいるときにほかのサービスを使う余裕が生まれます。

介護度が低いうちはご本人に泊りのサービスを使うことに慣れてもらう、ご家族が法事などの用事で家に帰れないときに使う、将来的にその施設に入所するかどうかのお試しで泊まってみるなどの目的で、早めに、少しずつ使うといいかもしれません。

 

次に、ショートステイは最長何日間使えるかという疑問ですが、これもなかなか難しい問題です。要介護5であれば、限度額だけを見ればひと月丸々ショートステイをすることも可能なはずです。

しかし、そうは問屋(国)が下ろしません。ショートステイは在宅サービスです。在宅サービスとはつまり自宅にいる人のためのサービスです。

丸々1ヶ月ショートステイしてしまったらそれは在宅サービスではありません。

そこで、次のような決まりがあります。

 

①月に30日を超えての連泊は許されない。

かつ

②介護保険証にある認定期間の(大体)半分以上をショートステイの利用にあててはいけない。

 

です。

つまり、保険証の有効期間が1年であれば、30日ショートステイ→家に1泊→30日ショートステイという繰り返しが約半年間できるということになります。が、その後の半年間はショートステイは全く使えない、ということでもあります。

そして上記のような極端な使い方は、あまり現実的ではありません。施設側もケアマネージャーさんも難色を示すでしょう。上記②の決まりを月々に均して、ショートステイは毎月の半分くらいにするのがバランスの良い使い方だと思います。

 

老健の入所の使い方ですが、私は大きく2つに分けて考えています。

 

一つ目は、自宅での生活を続けるための利用、二つ目は、家には帰らず次の施設につなげるための利用です。

 

まず一つ目は、普段はショートステイやデイサービス等を使いながら自宅で生活していて、これからもそのつもりでいるけれど、真夏や真冬などの気候が厳しい季節に避暑などもかねてリハビリをし、ご家族の休養もかねて利用するという使い方です。

老健は、入所して3ヶ月経つとリハビリの回数が減ってしまうのですが、退所して自宅に帰った後、3ヶ月経つと週に3回以上のリハビリのある入所が再びできるようになります。このため、期間を空ければ同じ老健に何度も入所することができるのです。

 

ご家族はゆっくり休む期間に、ご本人はガッツリとリハビリをして身体機能の維持を目指します。生活の中で難しくなってきた動きを伝えておくとそれに沿ったリハビリをしてくれたりもしますし、同じ老健に何度も入所・ショートステイをしていれば、同じリハビリスタッフや介護・看護スタッフに継続してみてもらえるので安心です。なじみの関係もできてご本人の安定につながります。

家かいつもの老健、という環境を確保することで、ご家族も他の施設を探さなくて済みますし、泊りの施設に対するご本人の抵抗感も少なくて済むでしょう。

 

ですが、このときの期間はあまり長くない方がいいかと思います。在宅のケアマネージャーさんは3ヶ月経つと契約が切れてしまいますし、あまり長い間ご本人がいない状態が続くとその状態に慣れてしまい、帰ってきたときにご家族がキツいです。

お勧めは冬であれば本当に寒い時期の1ヶ月~2ヶ月くらいでしょうか。退所が近づいてきたらケアマネージャーさんと止めていた在宅サービスの再開の調整を相談します。

 

ご家族の介護負担をなるべく少なく、かつ費用を安く施設を利用しながら自宅で生活するには、

老健の入所(リハビリで身体機能維持)→ショートステイやデイケア(デイサービス)などの在宅サービスを使いながら自宅で3ヶ月(この間に病院受診をして持病の調整)→老健の入所(リハビリ)を繰り返しながら特養の順番を待つ。というのがいいと思います。

 

次は二つ目、家には帰らず他の施設につなげる場合の使い方をお話しします。

 

老健の二つ目の使い方、もう家には帰らない場合の使い方です。

家に帰らないということは、退所後の行先を探さなければならないということです。行先を探すには時間がかかりますから、長めに入所したいところです。

また、退院したばかりであればリハビリも必要かもしれません。

もう家に帰らない場合の入所は、ショートステイから入ることをお勧めします。介護度2以上くらいであれば約半月ショートステイが使えますので、月の半ばからショートステイに入り、翌月の半ばから入所に切り替えます。そうすることで施設にいる期間が約1ヶ月伸び、合計4ヶ月間の間週3回以上のリハビリができるという計算になります。その間に「住む」ホームを探すのです。

 

老健から老健に移るということ

費用的に老人ホームで一番安いのは特養です。そしてその次に安いのが老健となってくるでしょう。この2つの施設は生活保護を受けている方でもほぼ問題なく利用できます。

しかも、特養は今後介護度3以上の人しか入所できなくなるのに比べて、老健は要介護1から入所できます。

有料老人ホームやグループホームとの料金の違いに直面し、特養入所の順番が来るまで老健を転々としようとする人がたまにいます。

しかし、これはあまりお勧めできません。

 

老健の本来の役目であるリハビリは、最初の3ヶ月しかできないことはすでにお話ししました。このリハビリは、3ヶ月の入所をした後、自宅で3ヶ月過ごすと再び3ヶ月、受けられるようになります。

しかし、老健の入所からそのまま他の老健に入所した場合、リハビリは再び受けられるようにはなりません。最初の入所から3ヶ月経たないうちに移った場合でも、老健から老健に移った場合は残りの期間もリハビリを受けることはできません。

理由はこれも介護報酬上の問題なのですが、「自宅に戻す」という老健の目的を全うするためなのか、老健から老健へ移ることで利用者側の利益になることはほぼないと言っていいでしょう。

 

何度もお話ししていることですが、老健は「住む」ことを前提とした施設ではありません。私物の持ち込みも制限されますし、転々と居場所が変わる、次の行き先が判然としない、ということはご本人にとってもご家族にとっても大きなストレスです。

 

次は、医療の側面から見た老健から老健に移ることの注意点についてお話ししたいと思います。

 

老健から老健に移る時の注意点についてお話ししたいと思います。

あまり楽しい話ではありませんが、福祉にかかわる者として、利用者さんとご家族に知っていていただきたいことなのでお話しさせていただきます。

 

老健の医療に特化した施設という特徴のひとつとして、施設にいる間の医療費負担の問題をお話しします。

 

ある程度高齢になってくれば、多くの人は何かしらの病院にかかっているものです。

定期的に病院に通い、薬をもらったり検査をしたりして体調を維持しています。

ところが、老健に入所してしまうとそれらは一時にストップになります。

 

特養やグループホームなどは「住む」ところなので、提携の往診医がいたり、ご家族が病院に連れていったりできますが、老健では基本的にそれらはできません。

 

なぜなら、制度上老健入所中は基本的に医療保険が使えないからです。

 

老健は施設長がお医者さんで看護師さんもいるので、健康管理は施設側で行う建前になっています。入所時に飲んでいる薬などは、かかりつけ医から引き継いで施設長が処方箋を書き、費用は施設が負担します。

 

しかも、医療保険が使えないので入所中にかかる薬代などの医療費はほぼ全て施設側が、10割負担で負担している状態です。医療行為に必要な備品も資材もほとんど施設負担です。当然、施設としては極力医療行為を避け、医療行為が必要な利用者の入所を避けようとする傾向にあります。

 

介護施設なので設備もないし、入所している間に健康診断なんてもちろんありません。例えば糖尿病であっても、定期的に採血してデータを見ながら薬の量を調整する、なんてことはありません。入所した時に飲んでいる薬を漫然と飲み続ける状態になります。

 

これだけ見ても、老健はずっといることを前提とした施設ではないことは明らかです。

 

何年も老健を転々としている間に癌になり、本人も知らない間に進行、黄疸が出るなどして家族や施設側が気付いた時にはもう手遅れだったなんてこともありえます。医療に対する考え方は人それぞれだと思いますが、後悔しない道を選択してほしいと思います。

 

そうは言っても現実的に選択肢がない場合もあるでしょう。

 

相談員をする中で、それがこの国の現実なのだと思わざるを得ない場面もいくつかありました。そうであれば暗くなってもしょうがありません。家族として、縁のあった者として、できることを考える、実行するという方向に切り替えていきましょう。

 

私は10年弱、老人ホームにかかわる仕事をしてきました。

特養にも老健にもグループホームにも、入居金が何千万円にもなる有料にも、健常者にも認知症の人にも、いい顔をした幸せそうな顔をした人と不安そうな顔をした人がいました。

老人ホームをじっくり探しましょうと言っている私が言うのもなんですが、その表情に場所は関係ありません。

 

人間、最後の最後には自分の培ってきた考え方、人間性がものを言うんだなあと思います。

自分が幸せかどうかを決めるのに、受けているサービスは関係ありません。

最後にいい表情をしているかどうかはその人が決めることですし、人はその力を持っています。

私は常々、高齢者は弱者ではないと思っています。

 

老健に入るための手続きについてお話しします。

 

老健を利用するためには、利用したい老健を絞り込み、見学に行って申し込む(複数申し込みも可。)という一連の流れは特養と変わりません。

申し込みにあたっては必要な書類をそろえ、入所するには申し込んだ老健の入所検討会議というものを通らなければなりません。

 

必要書類はまず、かかりつけのお医者さんの診療情報提供書と健康診断書です。

これは、ご本人が今までどんな病気にかかって、どんな薬を飲んでいるかなどを老健に引き継ぐための情報書です。これによって施設側の設備や体制で受け入れられる人かを検討します。

 

もう一つはADL票です。これはご本人の身体状態や精神状態などを書くもので、食事や排せつに介助が必要か、認知症はあるかなどを書きます。ご家族が記入するか、ケアマネージャーさんに記入してもらっても良いでしょう。こちらも、施設側の設備や体制で受け入れられる人かを検討するのに使用します。

 

期限内のものがなければ、基本的には通院したりして揃えなければなりません。書式は様々ですが、施設側の求める検査項目がそろっていればどんな書式でも大丈夫というところが多いです。

事前に準備が必要なものはこのくらいでしょうか。

 

あとは、申込書、保険証類一式、お薬手帳などです。

 

入院中の病院の紹介であれば必要書類は大体病院が揃えてくれますが、家にいる場合は自分たちで揃えなくてはなりません。

担当のケアマネージャーさんがいれば施設に問い合わせて色々協力してくれるでしょう。

ケアマネージャーさんがいなければご家族かご本人が揃えましょう。お近くの「地域包括支援センター」というところに相談すれば力になってくれます。

 

利用することを決めているのならば、診療情報提供書や健康診断書は病院にお願いしてからできるのに時間がかかるので、先に準備しても良いでしょう。かかりつけ医の先生が知っている老健を紹介してくれることもあります。

ただし、何か月以内のデータを、などの期限がありますのでご注意を。

 

書式は、見学に行けば行った先の老健でもらえますが、大体の施設は内容がそろっていればその書式でなくても大丈夫です。市町村で一般的な項目の入った書式がもらえるところもありますし、期限内に健康診断などを受けた時のデータがあれば改めて採血したりする必要はありません。使えそうなものがあれば見学の際にもって行き、相談員さんに確認してみましょう。

 

複数の老健に申し込む場合は何部かコピーを取って各施設に渡します。この時の書類は老健に入所した後も捨てないで取っておくことをお勧めします。

なぜなら、老健退所後に有料老人ホーム等、他の施設を探すときにも使えるからです。老健からそのまま他の施設に行くのならば施設同士でやり取りしてくれますが、いったん自宅に帰ったりした場合、同じような書類が必要になる上に、他の施設は老健ほど厳しい書類審査をしていないところが多いので、多少古いデータでも同じ書類で入居審査を通してくれることもあるからです。

 

入所検討会議の前に、施設の支援相談員からご本人かご家族(または両方)に対して、面談しての情報収集、施設の見学・紹介などを兼ねた話し合いがあります。

この時に老健退所後の行き先の見通しが立っていれば比較的入所検討会議は通りやすくなります。施設側は一人の利用者さんが長く入所していると困るからです。

このほかにも、服用している薬や必要な医療処置、その人が施設を利用した場合に必要な介護量を確保できるかなどを会議にかけて検討します。

その結果、入所が可能だったり不可能だったりショートステイならば可能となったり、ショートステイから始めて様子を見てみましょう。となったりします。会議が通った後、最終的に利用するかどうか決めるのはご本人でありご家族です。

 

全てが決まれば、いよいよ老健の利用が始まります。老健利用はゴールではありません。

ご本人は頑張ってリハビリをしてください。ご家族は少しだけ休み、今後の在宅生活のための準備や「住む」施設探しに取り掛かってください。

老健入所中でも外出や外泊は可能です。お昼に出かけたり、次の施設候補の見学に一緒に行ったり、家に帰る前の準備として自宅に一泊する、等希望があれば相談員さんや職員さんに伝えてみましょう。

帰宅の準備のための外泊ということであれば、ケアマネージャーさんにも一報してご本人の状態に変化がないか見てもらうと、帰ってきたときの在宅サービスの利用が的確にできます。

 

以上で老人保健施設編を終わります。次回から、いよいよ本格的に「住む」ホーム探しについて考えていきたいと思います。

 

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