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介護職に多いうつ病の症状と予防法、セルフケアについて

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超高齢化社会に伴い、多種多様な高齢者支援施設が続々とオープンしていますが、背景には介護をする職員のうつ病発症が隠れているケースも少なくないという事はご存知でしょうか。増え続ける高齢者を支える世代が体調を崩していては、元も子もありません。

うつ病は1度発症してしまうと仕事の継続が困難になるケースもあり、仕事を辞めたとしてもその後の生活に大きな影響を与える事にもなり兼ねません。通院や内服治療が続く事で、仕事どころか外出もできなくなってしまうなど、うつ病はみなさんが思っている以上に治療や完治が難しい疾患と言えます。

そこで今回は、介護職に多いうつ病について理由などをまとめると共に、予防法やセルフケアの方法についても紹介していきたいと思います。うつ病セルフチェックも載せていますので、自分は該当するかもチェックしながら少しの時間お付き合い下さい^^

うつ病とは?

うつ病とは、憂鬱な気分を主な症状とする病的な精神状態の事を言いますが、精神的側面だけでなく、身体的側面にも症状が現れる事があります。うつ病になりやすい人の傾向としては以下のような共通点があります。

  • 責任感が強く、自分一人で完璧になんでもこなしてしまう
  • 手を抜く事ができず、完璧主義
  • 自分自身に自信が持てない、頑張れない
  • 劣等感が強く、マイナス思考
  • 人と関わる事を避ける傾向にある

誰でも発症する可能性があるうつ病ですが、介護職に限定して見ていきますね。介護職は他の仕事と比較すると、利用者である高齢者との距離が近く、業務を真面目に取り組む中で無意識にストレスを溜めてしまい、うつ病を発症してしまうケースが多く報告されています。

その背景には【介護業界の慢性的な人手不足】が挙げられ、人手不足でもやらなければならない仕事はありますので、必然的に働く介護職員へ重労働を強いている職場もあります。小規模な介護施設ほどその傾向が強いと言われており、サービス残業や長時間労働が当たり前の職場も少なくありません。

平成22~26年の間で見ると、介護職員におけるうつ病発症は3倍になったという統計も出ており、業種別でも労災認定のトップ3に介護職員が入るなど、介護の現場での働く環境が悪化している事がわかります。

うつ病などの精神疾患において労災認定される基準は以下の通りです。

  • 月に160時間以上の残業
  • うつ病など発症前2ヶ月間に月に120時間以上の残業
  • うつ病など発症前3ヶ月間に月に100時間以上の残業
  • セクハラ、いじめなどが6ヶ月続いている
  • わいせつ行為などがあった

あくまで基準ですが、1つでも該当する場合はお近くの労働基準監督署へ相談してみると良いと思います。では次に、うつ病の症状について詳しく見ていきましょう。

こんな症状は要注意!うつ病の症状

うつ病は心と身体の疾患とお話してきましたが、具体的なうつ病の症状は以下の通りです。心と身体の症状を分けて紹介しますね。

心の症状

  • 抑うつ気分
  • 不安、焦り
  • 遠くへ行きたい、消えたい
  • 興味や喜び、楽しさの喪失
  • 意欲の低下
  • 自責感
  • 感情の不安定
  • 会話や本などの外部からの刺激や内容が入ってこない

身体の症状

  • 睡眠障害
  • 食欲減退
  • 疲労感、倦怠感
  • 動悸、息苦しさ、口渇
  • 身体の重さや痛み

たくさん症状を挙げましたが、この中でも睡眠障害はうつ病の初期症状と言われています。誰でも朝起きるのは辛いものですが、身体がだるくて起きる気力が無くなり仕事に行きたくないという考えがよぎる場合は要注意です。この状態のまま仕事を続けると、集中力が続かず記憶力が低下する事で、仕事でのミスや物忘れが多くなり仕事に支障をきたすようになってしまう事も考えられます。

うつ病を発症する人の多くは自覚症状がないまま進行してしまうケースもありますので、自分でできるうつ病セルフチェックを載せておきます。いくつ該当するか一緒にみていきましょう。

自分でできるセルフチェック

自分で自分のうつ症状をチェックする事ができる「簡易抑うつ症状尺度(QIDS-J)」というものがあります。

  1.  寝つきが悪く、眠りにつくまでに1時間以上かかる事が週に3回ある
  2.  夜中に目が覚める事が週に3回以上ある
  3.  起きる時間よりも早く目が覚めてしまい、その後眠れなくなる事がよくある
  4.  1日12時間以上寝ている(昼寝含む)
  5.  毎日常に悲しみを感じて過ごしている
  6.  食欲がわかず「食べなければ」と自分に言い聞かせたり、人に食べるように言われなければ1日以上食事を摂らない事がある
  7.  逆に常に食べ過ぎている自覚がある
  8.  ここ2週間で体重が2㎏以上減った

他にも項目はありますが、QIDS-Jテストの各項目の中でも最も点数が高いものを抜粋しました。これに当てはまる数が多ければ多いほどうつ症状が重いという事になります。

介護職がうつ病を発症してしまう原因

介護職員のうつ病発症率が高いという事は前述してきましたが、もっと詳しくうつ病を発症してしまう原因についてまとめていきます。

慢性的な人手不足

どの介護現場でも余分な人員配置はしていません。そのため、職員が退職してしまうとすぐに人員不足に陥る職場は珍しくなく、優良な介護サービス事業所であればすぐに求人広告を出し雇用までの流れが迅速ですが、意図的にいつまでも人員不足のままにしている介護サービス事業所もあります。

このような介護現場において直接影響を受けるのは、現場にいる残された介護職員であり、真面目な人ほど人手不足を補おうと頑張りすぎて疲弊してしまう傾向にあります。自分も限界を感じて辞職申請しても次の職員が入るまで受理されないケースもありますし、決められた業務を毎日こなす中で、求められる介護の質は年々高まりつつあるのもうつ病発症の原因として挙げられます。

人間関係

人間関係は介護の現場に限った事ではありませんが、介護施設は閉鎖的な環境になりやすく、日頃のストレスなどが原因で人間関係が悪化する事も少なくありません。自分に自信がない人であれば、人間関係の悪さも自分自身のせいだと考えてしまう傾向にあります。

自分自身が原因で人間関係が悪化してしまう可能性も否定できませんが、同僚からのいじめなどが隠れている場合もあります。状況を客観的にみて冷静な判断をするようにしましょう。

リフレッシュできない環境

慢性的な人手不足は、介護職員1人あたりにかかる仕事の負担も多くなります。せっかくの休日でも会議や季節のイベントなどで出勤せざるを得なくなったり、有休消化もままならない状況になり兼ねません。しっかり休息を取る事は、生活にメリハリを付けるだけでなく、気分のリフレッシュをするためにも大切です。例え休みでも利用者さんや仕事の事考えてしまい、休んだ気がしないと取れる疲れも取れずに溜まる一方です。

うつ病にならないためにできること

うつ病にならないために今からできる事はあるのでしょうか。自分は大丈夫だと思っていてもいつどんな症状が現れるのかはわかりませんよね。自分で自分の様子がいつもと違うと感じたら、まずは休養と栄養バランスの整った食事をしっかり取って生活リズムを整えましょう。

うつ病の症状は朝が1番重く現れ、夕方~夜にかけて徐々に軽快します。「朝に具合が悪かったのはただの疲れかな?」と症状を軽視していると、知らず知らずのうちに症状が悪化してしまう事もあります。

また、適度な運動はうつ病予防やストレス解消にとても有効です。体を動かす事で血液循環が良くなりますし、脳に酸素が行き渡ると身体も心もリフレッシュできるでしょう。疲れが残るような激しい運動ではなく、毎日でも続けられるような軽い運動がオススメです。

疲れているとついつい家でゴロゴロしたくなる気持ちもわかりますが、1日の中で少しでも身体を動かすクセを付ける事が大切と言えます。また、気になる仕事が残っていたとしても「休みの日はしっかり休む!」と気持ちを切り替える事もうつ病予防になりますし、仕事以外に没頭できる趣味を持つとなお良いですね。

うつ病かも…と思ったら

うつ病は早めに治療する事で、完治させる事も可能ですし、うつ病と付き合いながら仕事をしている人もたくさんいます。自分がうつ病になる訳がないと思っている人でも些細な原因からうつ病を発症するケースも少なくありません。

ストレスに対する耐性は人それぞれですし、誰かにとっては大した事ではなくても、他の誰かにとっては死にたいほどの辛い事という場合もあります。うつ病かも…と思った時は、1度専門の診療科を受診するようにしましょう。

うつ病は精神科や心療内科が専門になりますが、この診療科を受診する事に最初は抵抗がある人も少なくありません。その場合は内科など他の診療科を受診してから専門科を紹介して貰う方法もあります。

また、うつ病と診断された場合は、周りの理解やサポートがとても重要な役割を果たします。家族や職場に協力をして貰い、治療に専念できる環境を整える事も大切です。うつ病は自分1人で抱え込んでいては治るものも治りません。しっかりうつ病と向き合い、治療や再発予防に努めましょうね^^

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