徘徊とは目的や行くあてもないままウロウロと歩き回ることをいいます。
認知症の症状の中でも事故やトラブルに直結しやすい徘徊は介護者や家族にとって大きな悩みの1つですが、ただ闇雲に行動を制限するだけでは逆効果となってしまうことも少なくありません。
なぜ徘徊行動を行うのか、そしてどのように対応するべきなのか。
正しい知識の下に対応を行うことで、利用者様の身の安全を確保してあげましょう!
徘徊行動に対する理解を深めよう
テレビではよく認知症を患った高齢者の徘徊による事故が報道されています。
ですが、トラブルに巻き込まれてしまった高齢者は全体のごく一部であり、実際にはもっと多くの高齢者が自宅外を徘徊しているのです。
警察庁の発表によると、毎年1万人前後の方が認知症を原因に行方不明となっているようです。
ということは、行方不明にはならなかったものの知らぬ間に自宅の外へ飛び出てしまった方を含めると…とんでもない人数になりそうですね。
では、認知症の方々はなぜこのような徘徊行動を取ってしまうのでしょうか?
多くの場合は認知機能の低下によって今居る場所が分からなくなり「自宅に帰らないと」という感情から出口を探して外へ出ようとするようですが、更に認知機能の低下が進んでいくと「ここから早く出なければ」や「とにかくどうにかしないと」といった漠然とした危機的感情を持って行動することもあるようです。
ここで覚えていて頂きたいのは、いずれもちゃんとした目的があるということ。
徘徊とは『目的もなく』うろつくことを指す言葉ですが、認知症高齢者の方々は意図的に徘徊行動を取っているのです。
徘徊行動は一日中いつでも発生しますが、特に夕方から夜間にかけて多くなります。
この傾向も「家に帰らなければ」という目的と一致しますよね。
このような行動に対して「ここが家なのに何で分からないの!?」や「あなたはここ(介護施設)に入れられたの。家には帰れません。」などの否定的な言葉をかけては絶対にいけません。
また、鍵を掛けた部屋に閉じ込めたり物で入口を塞ぐような拘束行為も逆効果です。
時間帯によっては忙しかったり真夜中で眠い時もあるかと思いますが、しっかりと話に耳を傾けて安心できる声掛けを行うことが徘徊行動を弱める効果的な手段であることを正しく理解して対応するようにしましょう。
全く意味の無い言動なんて存在しない
認知症患者の言動には通常の思考では理解し難いことも多々存在しますが、それぞれの言動には一つ一つにちゃんとした意味が存在します。
そのメッセージを正しく読み取り、対応することによって問題行動と呼ばれる様々な行動は改善されていくのです。
利用者様を守るためにも、そして自分自身や家族様を守るためにも、徘徊行動にきちんと向き合い根本的解決を目指しましょう!