介護業務において最も大事である「声かけ」!1年目と10年目の職員との違いとは

介護業界で働き始めて1年目の人と10年目の人を比べるとその働き方はまったく違うものになります。それはなぜかと言いますと、大事だと思う部分がまったく違う部分になるからだと思います。

例えば1年目の職員であれば、日々のルーティン業務をこなすことが大事だと思います。10年目の職員であってもルーティン業務は大事ではあるのですが、そもそも介護業務で大事なのは利用者そのものですから、意識は業務そのものというよりは、利用者に対する意識が強くなるといっても良いかと思います。

その業務の違いについてお伝えしていきたいと思いますが、介護業務の基本である「声かけ」について見ていきたいと思います。

そもそも声かけとはどのようなものかと言いますと、字の通り「声をかけること」になります。しかしこの声かけであっても1年目の職員と10年目の職員はまったく違うものになります。

1年目の職員の声かけについて

1年目の職員の声かけは職員のルーティン業務を行うために声をかける行為といっても良いでしょう。悪く言ってしまえば、利用者のために行う声かけではありません。職員が職員の業務のために声をかけるのです。

例えば入浴の時間になったので、その日に入浴される人に対して「入浴しましょうか」と声をかける行為があると思います。1年目の職員には大変申し訳ない言い方になるのですが、「お風呂に入ってさっぱりと気分良く過ごしてもらいたい」というよりは「業務として入浴しなければならない時間であるために声をかけている」という意味合いの方が強いのではないでしょうか。

食事においても同様に言う事ができます。「そろそろご飯を食べましょうか」と声かけをして食事を食べる場所に誘導します。これは先ほどの入浴と同様に食事をしなければならない時間だから、その声かけをしているという意味合いが濃いと思います。

経験豊富な職員の声かけとは

これを読まれていて気分を害されたら申し訳ないのですが、これが3年目、5年目、10年目の職員となると少しずつ変わってくるものなのですね。

もちろんルーティン業務であることには変わりないかもしれません。しかしこの声かけの中に「アセスメント」の要素が強くなってきます。

アセスメントはお分かりでしょうか。その利用者の情報収集を行う行為になります。そのアセスメントした情報はそのままその利用者の情報となり、次の介護に活かしていく情報となります。

例えば食事の時間になったので「食事に行きましょうか」と声かけしたところ、「イヤだ」と返答があったとしたらどうでしょう。1年目の職員であれば、これから食事の時間ですから困ってしまうのではないでしょうか。食べてもらわないと、次の業務も待っているし・・・。そのように思うのが1年目の職員です。これが悪いわけではありません。

これが3年目、5年目、10年目の職員となると、「イヤだ」と言われた理由を考えます。その理由はいろいろな事が考えられます。例えば・・・

お腹が減っていないのだろうか。
好きな食事ではないからだろうか。
食事の時に嫌な人がいるからだろうか。
食事の場所が落ち着かないからだろうか。

「イヤだ」と言われた瞬間にその理由をいろいろと考える事ができます。もしもお腹が減っていないと考えられるようなことが思い浮かぶとしたら、「もう少し後で食べますか」という声かけができますし、その方が本人にとっても美味しく食事を召し上がることができるでしょう。「それだったら後で食べます」とおっしゃられるかもしれません。

食事が嫌な理由は何も、食事に対することが理由ではないかもしれません。声かけをした職員が嫌いなのかもしれません。職員の声かけの仕方が良くなかったのかもしれません。そのような気持ちが読み取れるのであれば、次の声かけは本人が満足してもらうように違う声かけの仕方になりますよね。

あるいは何か病気の始まりと捉える事もできます。歯が痛いのかもしれませんし、お腹の調子が悪いのかもしれません。そんな時には普段の声かけしたときの様子を思い浮かべてみて、普段と違うのかどうかが大事になってきます。いつもと同じような状況で声かけしているのであれば、何か異変があるのかと思えるのかもしれませんし、そこから大きな病気の発見に繋がるかもしれないのですね。

介護のプロとしての声かけ

このように1年目の職員の声かけと5年目、10年目の職員の声かけではそこから掴むことのできるアセスメント能力がまったく違うものになり、それ以降の業務についてもまったく違うものになるかもしれないという事が言えます。

それこそ普段している挨拶においても同様な事がいえます。
「おはようございます」「こんにちは」と声かけをして、相手の反応を見ているのがやはりベテラン職員になります。その反応ひとつで10も20も情報を掴むことができるのがアセスメント能力になります。

「おはようございます」と声かけをした時に、普通に返事をしてもらう事で、その利用者の聴力・判断力・意欲などさまざまな部分を掴むことができます。それを情報として、次の日に同じように挨拶を行って、声のハリが昨日と比べてなかったり、返事がなかったりすると、「今日はどうしたんだろう」とそこからいろいろな事に繋げていく事ができると思います。それがプロとしての介護ではないでしょうか。

数を掛ける事の大切さ

では1年目の職員がこのアセスメント能力を付けていくにはどうすればよいのでしょうか。
このアセスメント能力はすぐに備わるものではありません。ですので、日々こまめに声かけをすることがとても大事になります。声かけというものは自分自身で意識して行わなければ、できるものではありません。ですので意識して声かけをする事がとても大事になります。

大事なのは、声かけの内容ではありません。声かけを行う数が大事になります。何回も何回も声をかけ続けていく中で、掴んでいくものがあるはずです。これは経験を重ねていくしかないのです。

1年目の職員が行うことは、声かけも大事な業務のひとつであると認識して、意識してすべての利用者にしっかりとこまめに声かけしていく事が大切なのです。こちらから声かけしていくことで、利用者からも声かけしてもらえるようにもなりますし、そうなればさらに利用者の状況を的確に掴むことができるようになるのです。

いかがでしたでしょう。
アセスメント能力というものは、介護を行うものにとって、とても大事なものであることがお分かりになったと思います。

このアセスメント能力を高めることは介護職員の持っておきたい能力のひとつです。それを高めるために必要なことは声かけなのだということを認識して日々の介護業務に当たっていきましょう。