介護マニュアル

高齢者介護の摘便について「目的と準備と実施方法」

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摘便とは

便秘には様々な原因がありますが、疾患がなくても筋力や運動量が低下したり、摂食量が減少した高齢者ではよく見られる状態です。

高齢者介護に関わるスタッフは、必ずと言っていいほど直面する問題でしょう。

便を排出できずに長時間腸内に滞留していると、便が更に硬くなり排出困難になったり、腸閉塞などの原因ともなります。

そのため、直腸内に手指を挿入して便を排出させる行為を摘便と言います。

介護現場における摘便

摘便は医療行為であるため、現在では介護職に推奨される行為ではありません。

しかし、実際の現場には摘便をしたことがあるというスタッフにも多くいます。

知識のない状態で摘便を行い大きな事故に繋がることを避けるため、ここでは摘便を行う前までの準備について確認していきます。

準備するもの

・ディスポーザブル手袋
・潤滑剤(オリーブオイルなど)
・平おむつまたは処置用シーツなど
・ペーパー
・おしりふき
・ゴミ袋
・バスタオル
・必要に応じて、陰部洗浄の物品

1.高齢者に摘便の目的や方法を伝えます。

認知症のある高齢者にも、丁寧に説明してください。痛みや恥ずかしさ、何をされるかわからない不安から拒否したり、暴れたりする場合もあります。

施行中も今何をしているか、これから何をするか、どれくらいで終わるかなどを実況中継のように伝えると、安心する方も多いです。

前準備として、浣腸や坐薬を使用する場合もあります。

また、腹部を温罨法したり腹部マッサージをしておくと、より便が出やすくなることもあります。

温罨法や腹部マッサージの詳細についてはここでは説明しません

2.ズボンと下着を脱いでもらいます。

バスタオルをかけるなど羞恥心に配慮し、露出は最小限にしてください。服を脱ぐことで寒くなることを嫌がる高齢者もいます。

3.高齢者のお尻の下に、平オムツを敷きます。

必要に応じて更に処置用シーツなども併用してください。オムツを常用されている方は、着用していたオムツをそのまま敷くこともあります。

4.高齢者を左側臥位にし、膝を曲げてもらいます。

腸の走行などから左側臥位がベストですが、難しい場合は仰臥位や右側臥位で行う場合もあります。

一人で左側臥位を保つことば難しい方には、背中にクッションを入れるなどして安楽な体位にしてください。

5.ディスポーザブル手袋を装着します。

手袋は未使用でもピンホールが空いていることがあります。

感染対策の視点からも、スムーズに摘便の手技を行うためも、右手(利き手)の手袋を2枚重ねにしておくとよいでしょう。

高齢者が左側臥位をとっている場合には、右手で手技を行う方が自然な形になりますが、スタッフが左利きの場合には随時対応してください。

摘便の実施方法

摘便は医療行為ですが、現在の介護現場ではやむを得ず介護職が摘便を行っている場合もあります。

摘便による事故を避けるためにも、正しい摘便の方法を確認していきます。

1.使用する指に潤滑剤をたっぷりつけます。

利き手(高齢者が左側臥位の場合は、できれば右手)の人差し指を使用する場合がほとんどです。潤滑剤は、高齢者の痛みを緩和したり、肛門や直腸を傷つけることを避けるために必ず使用します。

潤滑剤は、オリーブオイルやサラダ油、ワセリンなどで代用されることがあります。

2.潤滑剤をつけた指で、肛門周辺をマッサージします。

肛門部の緊張を緩めるために行います。可能な場合は高齢者に口呼吸をしてもらうとよいでしょう。

緊張したままでは指の挿入が難しく、十分に便を摘出できなかったり、周辺を傷つけるなどのリスクが高くなります。

3.反対の手で肛門部を開きながら、指を挿入します。

反対の手で上になった臀部(左側臥位の場合には、右のお尻)を引き上げるようにすると、肛門部がよく見えます。高齢者の呼気に合わせてゆっくりと挿入してください。

4.無理をせず、肛門に近い部分から少しずつ便をかき出します。

便塊が大きく硬い場合には、腸の中で砕くようにしながら徐々にかき出します。また、腸と便を引きはがすように、腸壁に沿って指を回すようにしてください。

指を肛門に挿入すると便意があるため、可能な場合は高齢者本人に腹圧をかけてもらいます。

難しい場合は、摘便している逆の手で高齢者の左下腹部を押したり、マッサージをすると、便が更におりてくることがあります。

摘便中や腹部を圧迫すると、排尿がある高齢者もいます。また、かき出した便はペーパーにまとめるなどして、オムツやシーツなどを必要以上に汚さない配慮をするとよいでしょう。

※高齢者が強い痛みを訴えたり、多量に出血があった場合には処置を中止し、医療者に報告してください。処置中には高齢者の訴えや、顔色などを注意して観察します。

5.指で届く範囲(肛門部から5センチ前後)の便をかき出したら終了します。肛門周囲の汚れをふき取ります。

必要時、陰部洗浄を行い清潔に保ちます。摘便時には利き手の手袋を2枚重ねにしておき、摘便が終了したら上の汚れた手袋を外すと、スムーズに清拭や陰部洗浄を行えるでしょう。

6.便やオムツはゴミ袋などに入れ、使用した物品を片付けます。高齢者の衣服、かけものを元に戻します。

高齢者では、肛門付近の硬い便が栓のようになっていることがあります。

そのため、硬い部分を取り除くとその後に便が出やすくなることがあります。

下着やオムツはその後に便が出ることを想定して着用してください。また、摘便終了後の様子には注意して介護にあたってください。

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