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特別養護老人ホームってどんな所

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特別養護老人ホームについて

特別養護老人ホームとは、在宅生活が困難な要介護者に対して、施設サービス計画に基づいて、入浴・排泄・食事などの介護、日常生活上の世話、機能訓練、健康管理、療養上の世話を行う施設です。

一般的な老人ホームといえばまずイメージするのがこの特別養護老人ホームだと思います。

費用はひとくちには言えないのですが、6万円前後~15万円前後くらいのようです。生活保護を受けている方も入所できます。

特養にもいくつか種類があって、従来型の多床室が一番安いです。従来型とはざっくり言えば数十人から百人くらいの団体生活、多床室とは4人部屋などの相部屋のことです。

比較的新しい特養で、ユニット型や新型ユニットの特養への入居は値段も高くなります。

ユニット型とは、利用者を10人以下のグループに分け(個室)、1ユニットごとに専用の居住空間と専任の職員を配置することにより、少規模生活単位の家庭的な雰囲気の中での介護ケアを行うことです。

特別養護老人ホームのメリットは、何といっても費用が安いことでしょう。

いくら相部屋とはいえ月々6万円前後で食事や、まして日常介護までつくことは民間サービスではありえません。(なにせ私のアパートの家賃と同じ値段です。)

特養のデメリット

デメリットとしては大きく2つあります。

一つ目は、基本的に夜間看護師さんがいないこと。

数時間おきに痰の吸引が必要になったり、夜間に看護師でないとできない処置が必要な場合、退所しなくてはなりません。

2つ目は、入院等で長期間(多くの施設は3か月)施設にいなかった場合、退所しなくてはならないこと。

特別養護老人ホームは公共のサービスであり、超高齢化社会を迎える日本では需要に対する供給がとても追いついていません。そんな中特定の利用者のために長期間ベッドを空けておくわけにはいかないのです。

以上のことを踏まえると、特別養護老人ホームに入れたからといって以後安泰というわけではありません。

とはいえ、入った瞬間に出ることを考えていては身が持ちませんので、入所できたら一度しっかりと休み、ここまで頑張った自分を称えて一通り遊んでください。

真面目な方はここで「厄介者を追いやって喜んでいるようで気が引ける」と考える方もいますが、そんなことを考える必要はありません。

これまで不安や緊張や心配、面倒な手続きをたくさん乗り越えてきたはずです。時間もたくさん使いました。誰だって休みたいと思うはずです。

月並みですがお互いがストレスなく関係を続けられることが、最終的にはお互いにとっていいことだと思います。また、そのためにもホームを探していたはずです。

いざという時の事はその後頭の片隅に置きつつ、定期的に面会に行くことを大切にしてください。

入居はすぐに出来るの?

特別養護老人ホームは現在、需要に供給が追い付いていない状況ですから一般的に入居にはかなりの期間の待機を経なければなりません。

都内であれば数百人待ち、数年待ちは当たり前。当然ながら人気のホームほど待機は長いです。

特別養護老人ホームへ入居できるのは一部の例外を除いて「要介護3」以上に限定されます。

現在既に要介護3~5の認定を受けている方は、すぐに申込みをお勧めします。

新規の申請、区分変更申請で3以上が出た方も同様です。

既に申し込んでいる場合、区分変更で介護度が上がったのならば申し込んでいる特養にその旨を通知すると良いかもしれません。

特養の待機は緊急性や優先順位が高い方から順番が来やすいようになっていますので、状況が変わったらそれを伝えた方が早く順番が来るのではないかと思います。

そんなことを言われても、まだ特別養護老人ホームに入居すると決めたわけではないんだけど…

という声が聞こえてきそうですが、前述した通り待機の日数がすごいことになっていますので、決めてから申込みでは遅いのです。(地域によってすぐに入れるところはもちろん急がなくて大丈夫です)

見学に行くだけでもイメージがつきますし、申し込みはしておいて順番が来たという連絡をもらったときにキャンセルもできますので、絶対に家で介護をすると固く決めている(それでも保険として申し込んでおくことをお勧めはしますが、、)、またはある程度資金に余裕があって、手厚い介護を受けられる有料老人ホームに入居することを決めている。という方以外は申し込んでおくことをお勧めします。

さて、特別養護老人ホームの選び方ですが、まずはお近くの特養を洗い出します。お住まいの都道府県のホームページでリストを見ることができますし、役所でもらえることもあります。

リストの中から面会に行ける範囲に絞りこみ、数か所に絞れたらホームページを見てさらに絞り込んで見学に行く施設を決めます。

個室がいいか多床室がいいか、従来型かユニット型かなどを見て2、3か所を決めたら施設に電話をします。見学日時を決めて見学に行き、良いと思えばその場で申し込みまで済ませます。

複数の施設に申し込んでも大丈夫です。

申し込み方法は自治体や施設によって違いますのでその場で聞くといいでしょう。大体ご本人の現在の様子や家族構成、介護度、病歴などを聞かれます(記入します)ので、あらかじめ整理しておくとスムーズです。

施設を見学した際のご本人の様子や病歴などの聞き取りの一連のやりとりは、老人ホームを探すときに避けては通れない道です。

どこへ行っても必ず同じようなことを聞かれることを覚悟して、何度でも同じことを言い、書く覚悟を決めてください。

書類の記載に辟易とするご家族は多いですし、聞く方としても大変心苦しいですが、必要なんです…

後に紹介する介護老人保健施設の申し込みのための「地域連携診療情報提供書」や「ADL票」「看護サマリー」「情報提供書」などがあれば持参するといいでしょう。コピーを取って一部を省略してくれるところもあります。

特養に申し込んだら、申し込んだ施設の名前を必ず控えておいてください。(覚えていないご家族も多いです。)順番の連絡は忘れた頃に来ますし、変更やキャンセルがあったら連絡をしなければいけません。介護老人保健施設(老健)への申し込みの際にもあるといい情報です。

特別養護老人ホームへの見学、申し込みは今後ご紹介する介護老人保健施設(老健)への申し込みと並行して進めるといいかもしれません。病院から退院してほしいと言われている場合など、状況が差し迫っている場合は老健探しを優先する場合も多くあります。

ただ、介護老人保健施設、特に在宅復帰強化型の老健へ入所する場合、特養への申し込みが済んでいるという状況が有利に働く場合もありますので、とにかく動きを出していくことが重要です。

それでは、私が思う特養選びについて書きたいと思います。

いきなり自分のことから始めますと、私にとって特別養護老人ホームとは「保険」です。

血のつながった両親はできるだけ在宅でみたいと思っています。幸い遅くできた子どもなので母が100歳まで生きたとしても私は67歳。兄弟もいますので制度が今のままであれば在宅サービスを使いながらなんとかやれると思います。

これは、なにも在宅介護を推奨している国の方針を盲信しているわけではありません。できるだけ老人ホームに入りたくないというのがどうやら我が両親の本音であり、資金面の理由から、納得できる介護を受けられる有料老人ホームへ両親そろって入居させるのは不可能な上に、それだけの資金があれば24時間自宅にヘルパーさんに来てもらえます。

両親には一応ここまで育てていただいた恩を感じないでもありませんし、一時的に老健やグループホームに入ってもらうことはあるとしても、終末期は自宅でと考えています。

しかし、人生なにが起こるか分かりません。

自分にしろ家族にしろ突然の事故や病気、仕事や家庭で不測の事態が起こって両親の介護が出来なくなることも十分考えられます。

そうなったときに慌ててすぐに入れそうな施設に飛びつくよりも、いざという時のために待機に入っておくのが賢明だと考えています。実際に自分の両親に介護度3以上がついたら迷わず特養を見学に行くでしょう。

私が特養の現場を初めて見たのは、専門学校1年生の実習の時でした。

もう10年近く前の話になります。具体的な話しはここでは避けますが、たまたまそのような施設に当たったのか、今思い出しても到底人が生活する環境とは思えないところでした。その時のことを思い出すと正直今も“悲惨”という言葉しか浮かびません。

その1ヶ月に渡る実習の印象があまりにも強烈だったため、就職先を決めるときに特養で働こうという気持ちは、正直1ミリもありませんでした。

なぜこんな話をするのかというと、特別養護老人ホームを第一の選択肢として考えている方は、よくよくしっかり見てきてほしいのです。(有料老人ホームやその他の老人ホームなら安心というわけではありません。)

慎重に検討し、待機中に新しくできる特養がないかアンテナを張り、もしあれば面倒がらずにそちらも見に行ってほしいのです。

だからこそ、老人ホームを選ぶときは切羽詰まった状況になってからではなく、ある程度余裕のあるうちから検討してほしいのです。

資金の問題で特養を第一選択肢とする方は多いと思います。

私の大叔母も某県の特養で最期までみていただきました。

あの実習から10年ほどたった今、特養も色々なタイプができています。

世の中の老人ホームへの関心も高まり、制度も変わって特養も昔のままではないはずです。

さて、それではいくつかの視点から特養選びを考えてみましょう。

まずは従来型かユニット型かです。

従来型とは分かりやすく言えば学校の寮生活のようなものでしょうか。二段ベッドというわけにはいきませんが、多くの場合数人相部屋で食事時にはみんなが一斉に食堂に集まります。その規模100人クラスのところも珍しくありません。

若い人の寮生活ならば自分のことは自分ででき、時間になったら食堂でおばちゃんがご飯を用意してくれているので食堂に行き、同部屋の友達とおやつを交換しあったり遊んだり、たまには規則を破るスリルを味わったりしながらも結構楽しい生活かもしれません。

しかしここで考えなければならないのは、特養に入所するのは皆が介護度3以上の要介護者だということです。自分1人では食堂にたどり着くこともできない人が大勢います。

しかも8割以上は程度の差はあれ認知機能に障害が出ています。

それを100人収容し、8時と12時と18時に食事が食べられる状態に持っていくとはどういうことでしょうか。少し考えてみましょう。

この生活の流れは、従来型の老人保健施設(老健)等にも大体あてはまると思います。

まずは朝です。

8時に全員着席を目指すべく、介護スタッフの格闘は夜勤帯から始まります。多くの施設では早番と呼ばれる泊りではないその日最初のスタッフは、6時半~7時半頃からの勤務です。早番スタッフが来てから100人の利用者さんを起こしたのでは到底間に合わないので、少ない夜勤スタッフで早ければ4時頃から着替えの介助を始めます。

まあ、スタッフは仕事ですから置いといて、問題は利用者さんです。

朝4時にたたき起こされて着替えをさせられ、もう一度布団に戻されはしたものの、果たして寝直せるでしょうか。起きてしまう人は起きてしまい、認知症であればスタッフを呼び続けたり歩き回ったり色々して、朝ごはんが来る頃には疲れてうとうとする人もいますし、認知症じゃなければ、まあまあ慣れればしょうがない。職員さんも手が足りないのだから…と妥協してくれる場合がほとんどです。

そして、7時前後からはいよいよ順々にベッドから引っぺがされ、8時に朝ごはんが運ばれて来るまで食事の席で延々待たされることになります。TVが近ければまだいいですが…

この時早い時間から離床(ベッドから離れること)する人というのは、大体決まっています。まずは、スタッフが起こすまでもなく起きてしまう人(一人にしておいても危険な行為をしない人限定)。次に、車椅子に乗ってしまえば自分では動かなくて、体力的に食事終了時間まで座った姿勢を保つことに堪えられる人。次に、ご飯ですから座って待っててくださいといえば待っていられる人を待てる時間に応じた順番で。食事直前に、声を出したり騒ぐ人。配膳が終わった頃に体調が思わしくない人。
といった順番でしょうか。

つまり、待てる人は待てるだけ待たなくてはなりません。それも、毎日。
食事に限ったことではありません。お風呂もトイレもおやつも、体調や認知症の具合で優先順位がかなり明確に決められています。自立に近ければ近いほど我慢が増えるでしょう。しょうがない。そんなことは分かっています。頭ではしょうがないと思ってますけど、、、ねえ?

スタッフだって分かってます。でも、現状そこまで配慮できる人員体制ではないのです。そこに真剣に葛藤を抱え続けた場合、いずれ燃え尽きてしまうんじゃないかなあと思います。だからみんな少しずつ鈍感になっていく。自分がここに現実に入るんだったら…という視点をあえて切り離して毎日仕事をしている。

介護の世界のスタッフって、私にはそんな風に映るんです。

次は施設の設備について書きたいと思います。

たまに、介護は心だ。立派な設備が整った豪華なホームよりも、優しいスタッフのいる温かい環境が一番だ。という話しを耳にしますが、これは半分正解で半分間違いだと思います。

確かに人間関係は人生で最も重要な問題のひとつでしょう。人生の終盤にいい人たちに囲まれて過ごせるかどうかは最大の関心事項です。

では、介護現場の「いい人」とはどこから生まれるのでしょうか。一番初めに書いた通り、私は介護スタッフというものが博愛の精神に満ちた生まれながらの「いい人」だなんてこれっぽっちも考えていません。

介護は肉体労働の一面を持ち、夜勤もあります。しかも関わる人は待ったのきかない認知症です。

介護職になろうという人は、相手が認知症だとか排泄の介助をするんだとかお客さんには親切にニコニコととかそんなことは当然分かった上で入職しています。

ただ、具体的に何時までに何人をどうしなければいけないとか、今この人の介助をしている間にもあの人が転んでいるかもしれないと焦りまくることとか、自分がこれを何時までに終わらせなければ食事の時間に間に合わないとかほかのスタッフに迷惑がかかるとか、そんな状況までを予測して入職する人はあまりいないでしょう。そのような状態で利用者さんに優しくできるでしょうか。高齢者のペースをゆっくりと見守り、穏やかに話しかけることがどれだけできるでしょうか。

少なくとも私は、現時点での介護施設での優しさとは「余裕」だと考えます。

例えば3階建ての施設で、汚物の入ったゴミ袋を1階のゴミ置き場に持っていかなければならないとします。汚物を食事も運ぶ普通のエレベーターに乗せることはできませんので、スタッフが手に持って非常階段を下りなければならないとします。ゴミが6袋あれば3往復しなければならないかもしれませんし、体力を使います。その上、その間利用者さんはほったらかしです。この間にもあの人が転んでいるかもしれない。もし転んだら骨折するかもしれない。骨折したら救急車を呼んで家族に電話しなくちゃいけないのかなあ…なんて悪い予感でヒヤヒヤしながら半分かけ上がるようにして3往復し、ゼエゼエしながらフロアに戻ると、くだんのあの人がまさに立ち上がって一歩を踏み出そうとしている…「○○さん!!」
思わず叫ぶ。

はい。ピリピリした雰囲気の出来上がりです。

もしこの施設にダムウェーター(ゴミ用のエレベーター)があったらどうでしょう。ゴミを6袋降ろさなくてはならないとしても3階で全部ダムウェーターに放り込み、スイッチを押して1階に下り、捨ててくれば1往復で済みます。焦燥感に駆られる時間と転倒リスクは少なくて済みますし、省けた時間で利用者さんに一声かけることも可能でしょう。

設備とは、人の手間を省くためのものです。

設備が整っていればそれなりの時間短縮も見込めますし(たまに謎の設備も見かけますが)それだけ職員に余裕が生まれます。その生まれた余裕をどこに使うかはまた別の問題として、ないよりはあった方が生まれた余裕を利用者さんに向ける見込みが増すというものです。

介護施設は、施設によって設備がかなり異なります。

施設自体が足りない状態なので、設備が整ってなかろうが古かろうが、稼働していかないと間に合わないのです。

と、いうわけでもし自分の身内を特養に預けるのなら、私だったら見学に行ってみて雰囲気によほどの違いを感じなければ設備の整った方にするでしょう。

雰囲気について言えば、介護施設の雰囲気はスタッフのカラーによってかなり決まってきます。転職のものすごく多い業界の事情も鑑みると、施設の雰囲気は案外コロコロ変わるかもしれないと思うのです。そうすると単純に考えて新しい施設の方が期待できるような気がします。

だから待機中に新しい施設ができるときは見に行くことをお勧めするのです。まだ利用者さんがいないときに内覧会を開いたりする場合はお風呂場や裏の設備まで見せてくれることもあるかもしれません。見てくるだけでも楽しい(と、思うのは私だけ?)と思いますが、いかがでしょうか。

ここまで個人的な感覚で特養の選び方を色々おススメしてきましたが、やはり百聞は一見にしかずです。一人一人の個性に合った施設は、やっぱり本人や家族にしか分からないものです。ぜひ自分の目で見て確かめて、納得のいく施設探しができることを応援しています。

以上で特別養護老人ホームについてを終わりたいと思います。最後までお付き合いいただきありがとうございました。

 

 

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