高齢者と介護にかかわる人へ

高齢者ねっと

福祉施設

グループホームってどんなところ?

更新日:

グループホーム(認知症対応共同生活介護)とは、「認知症の方が小規模な生活の場で少人数(5人から9人)を単位とした共同住居の形態で、食事の支度や掃除、洗濯などをスタッフが利用者とともに共同で行い、一日中家庭的で落ち着いた雰囲気の中で生活を送ることにより、認知症状の進行を穏やかにし、家庭介護の負担軽減に資する」施設です。

グループホームの入居条件と生活

「地域密着サービス」というもののひとつなので、ご本人の住民票がある地域の施設にしか入居できないこと、介護度が要支援2以上の方、医師の「認知症」という診断を受けていることが入居の条件となります。

つまり、グループホームとは

認知症の高齢者が、9人以下のグループになって生活を共にし、スタッフの手を借りながら家事などの自分のことは自分でして生活するところです。

費用はグループホームによって違ってくるので事前に問い合わせをして聞いておきましょう。

月々15万~25万円くらいでしょうか。

建前としては認知症があっても「自分のことは(概ね)自分でできる」人たちのためのホームですので、要介護4、5位になってくると退去の話も出てくる可能性があります。その意味では、厳密に「住む」ホームとは言えないかもしれません。

グループホームを出なければならないときにちょうど特養の順番が来るという希望はちょっと現実的ではないので、グループホームに入所する場合、「いつか退去しなくてはならない」という意識を持った上での利用が必要です。

後に話しますが、現実的には寝たきりの方がいることもあるようですが、ご本人にも施設にもいいことではなさそうです。

私はグループホームにちゃんと務めたことはないのですが、アルバイトのような形で数回行ったことがありますのでその時の体験と、スタッフさんから聞いた話をもとに書いていきたいと思います。

そのグループホームは比較的新しい施設で(グループホーム自体割と最近できた種別なのですが…)業界の中では大手と呼ばれている会社の運営でした。

建物の1階にはデイサービスと居宅の事業所(ケアマネージャーさんの事務所)も併設しており、2階、3階のグループホームの居室も共用部分もきれいでした。

グループホームは「自分のことは(概ね)自分でできる」人を対象としたホームであり、その状態の維持を目指す施設でもあるため、食事の準備や居室の掃除などを全てスタッフが担う老健・特養とは違い、

「自分の部屋は自分で掃除、食事の準備も片づけも皆で。」が基本です。(始めの声かけやできないところの手伝いはスタッフがやります。)

スタッフの「掃除しますよ~」の声掛けを合図に、各自自分の部屋の片づけをはじめ、リビングのテーブルに取り込んだ洗濯物がごそっと置かれて、たたみながらおしゃべりをしていたり、食事の前のテーブル拭きや食後の洗い物もできる人は自分でやります。

老健、特養よりも「共同生活」の要素が強い施設ですので、間違いなく生活のプロであるじじばばがたくさん集まると、その生活感たるやちょっと嬉しくなっちゃうものがあります。部屋の中など個性が出ていてとっても面白いです。

晴れた日はみんなで散歩に出たり、節分の恵方巻きを作ったり、TVを見てぼーっとしたり。
私はグループホームって、大好きです。

グループホームで介護度が上がってしまったら

さて、そのグループホームには介護度5の寝たきりの方が入居していました。入居当初は要件に当てはまる(自分のことは概ねできる)状態だったそうですが、風邪などの体調不良から状態が悪くなってしまったようです。全てにおいて介助が必要で、食事ももちろん介助、しかも決して難易度の低い介助レベルではありませんでした。

「なんだ。介護度5になってもいられるんじゃないか。それなら安心。」と、思われたかもしれませんが、その考えは危険です。

老健の場合もそうでしたが、本来の目的と食い違った利用の仕方はご本人にも施設にも負荷が大きいのです。

グループホームに要介護5の男性が入居していたお話です。

まず、ご本人にはお尻に褥瘡(床ずれ)がありました。

訪問看護を入れて週に数回処置をしてもらっていましたが一向に良くならず、それどころかどんどん悪化していきました。(グループホームには昼間も看護師さんがいません。それだけ介護度の低い人を対象としているということです。)
お風呂もシャワーだけ、それもめったに入れませんでした。

なぜこのような事態になってしまったのでしょうか。

グループホームがどんな施設だったのかをもう一度見てみましょう。

「認知症であって、自分のことは(概ね)自分でできる」方が対象の施設です。

職員は、認知症の方に寄り添い、共に生活し、サポートすることに長けています。

そのスキルは会話であったり個性を見抜く力であったり、非言語のコミュニケーションスキルであったり(他に料理などの家事援助技術)が主軸になってきます。

これ自体はすばらしいことです。あのアットホーム感はスタッフの醸し出すところも大きいと思います。

しかし、ある意味想定外である重度の要介護者への対応は得意ではありません。

褥瘡のある方へはどんな対応をしたらいいのか、個人に合わせた食事の形態、介助はどのようにしたらいいのか、といった対応に弱いので褥瘡は大きくなるし、むせてしまって食べられないのです。

そして、入浴は施設の中での事故発生率が高く、滑りやすいので転倒した時などは大きなケガにつながる確率も高い上に気温差などで体調の急変の可能性も高い、スタッフとしては最も神経を使う介助のひとつです。

そのため全介助の方を介助した経験のないスタッフだけでは手が出せず、他施設での経験がある特定のスタッフしか介助ができない。しかも施設の設備が重度の介護が必要な方の対応を想定しておらず、一般家庭に毛が生えた程度の浴室のことが多いため、湯船には入れずシャワーだけとなってしまっていたのです。

もちろん、資格を持ってやっている以上ある程度はできなくてはならないものですが、圧倒的な人手不足である上に転職がものすごく多いという業界の事情や、制度の歴史が浅く、看護師のように教育体制が確立されていないという現実の中で、資格もなくまたは取りたてで経験がない人が短い研修で、常勤で働いているなどということはざらです。

また、そのような人が重度の要介護者のいない環境で長く働いていれば、グループホームでの経験が長くても身体介護はできない、という状況が生まれます。

もしも職員全員介助ができたとしても、重度の要介護者を想定していないグループホームの人員配置では重度の人に対応しきれません。重度の方の介助に時間をかけていれば、当然他の方へ必要な介助を提供できないからです。

グループホームに重度の要介護者が入居していた場合についてお話ししています。

ご本人が重度の要介護状態であっても、ご家族は大体施設に居続けることを望みます。

日ごろ会いに来るご家族が見ているのは生活の一場面にすぎませんし、施設側が現状を話したとしてもあまりイメージがつかず、ご本人の状態について「見た感じ問題なさそうに見えるのだから大丈夫だろう。」と思うようです。

施設側も、それまでの関係もあるのであまり強くは退去を勧められません。

その方は、そうして膠着状態が続いている間に状況がどんどん差し迫った結果、痰の吸引が必要となり、とにかく入れる施設か病院に…と移っていったようでした。

ご本人もご家族も、施設側としても悔いが残る対応だったのではないでしょうか。

私が個人的に思うグループホームの使い方について、自分の両親の事として考えてみました。

私の父もそろそろ70。いつ認知症になってもおかしくありません。

父が認知症になった場合、体は元気なので実に様々なトラブルが想定できます。

私は介護において、認知症だけど体が元気なときや認知症が始まった頃の混乱期が最も大変な時期だと思っています。現在実家には両親と姉だけなので、一人で留守番がさせられなければグループホームに入ってもらう確率はとても高いと思います。(本人は嫌がると思いますが、そこは強い意思で行きたいと思います。それは、家族にしかできないことだとも思っています。)

私は3人兄弟ですが、幸いなことに全員2時間以内に実家に帰れるところに住んでいます。介護度が重くなってグループホームにそぐわない状態、または認知症の症状が落ち着いて家に戻せる状態になったと判断したら自宅に戻したいと考えています。

その前後では在宅サービスや老健のサービスを使います。

看取りは家で、と、思っています。父がどう思っているかは分かりませんが、母はそれを望んでいるようです。

もし一人っ子であったり、色々な事情で自宅には戻せないと考えている場合、グループホームで介護度が重くなってきたときには再度他のホームを探さなくてはなりません。特養の順番が来ていなければ有料老人ホームということになるでしょう。

グループホームで急変し、救急車で運ばれてそのままご逝去ということでなければ、いつかは他の施設を探さなくてはならないことを考えるとグループホームの利用は最初からしない方がいい、という考えもひとつだと思います。

新しくホームを探す時間と費用もかかりますし、多かれ少なかれ環境を変えればその前後のご本人の混乱は避けられないと思った方がいいでしょう。

ただ、費用の安い、またはグループホームと同等くらいの料金の有料老人ホームよりも、グループホームの方が質がいいことも多いという現実もあり、難しいところです。

個人的には、もうずっと自宅に戻すつもりがないという方で、経済的に余裕があるような場合には有料老人ホームなどの退去の必要がないホームへの入居をお勧めします。

以上でグループホームについてを終わります。

おすすめ記事

老人ホーム 1

あなたは介護職の人ってどういうイメージをお持ちですか? 優しい人、いい人。周りとの和をとても大切にしていて、気が利いてよ ...

-福祉施設
-