近年、高齢者を相手に買え買え詐欺を行うグループが増加しています。
ダイアモンドや掛け軸等の物を買わされるというのが一般的でしたが、現在では「老人ホームの入居権利」という見えないものを買わされるという被害が相次いでいます。
それがどのような方法で行われているのか、以下で解説していきたいと思います。
老人ホーム入居権の買え買え詐欺の手口
近年、高齢化が進み老人ホームの入居に苦労している方も少なくありません。
このような社会情勢を理由に付け込んだ詐欺が老人ホームの入居権の買え買え詐欺です。
その手口の流れを紹介します。
① 新規オープンするという老人ホームのダイレクトメールが送られてくるのが特徴です。
② A業者から、「新規オープンの老人ホームの権利を売って下さい」と頼まれます。
ダイレクトメールを送られた人にしか入居の権利がなく、介護を必要としていても入居できない人がいるから、人助けの為にその権利を売って下さいという連絡が入ります。
お金もかからないし、名義だけ貸してくれるだけで良いというので名義を貸してしまいます。
もし、断っても「人助けの為にお願いします」と何度も連絡があり、渋々了承してしまうケースもあります。
③ 名義を貸すと、その後B老人ホームから連絡が入り、「老人ホームの入居費用の入金が確認されたので、○月○日から入居できるので迎えに来ます」等と言われます。
自分は、名義を貸しただけで入居する意思はないので戸惑ってしまいます。
④ B老人ホームに、名義を貸した旨を伝えると、「犯罪行為であり、警察に連絡します」または「裁判を起こします」などと脅されます。
また、示談金を提示され、示談金を支払えば公にしないと言うので示談金を支払ってしまうことで経済的な被害が生じます。
複数の人が登場する劇場型詐欺
これまでの流れを見てわかるように、ダイレクトメールが届いた後に「権利を売ってください」というA業者とB老人ホームは同じ詐欺グループということがわかります。
このような詐欺は、単独ではなく数人のグループによって行われているケースがほとんどです。
このような劇場型の詐欺はなかなか見破ることができず、高齢者の被害が相次いでいます。
また、自分が罪を犯してしまったという意識があり、周囲に隠してしまう傾向もあり、一人で悩み、お金を払って解決してしまったケースも少なくないと思います。
公になっている被害届よりも、実際の被害は遥かに上回っているのではないかと言われています。
詐欺に遭わない為に
「人助け」ということで名義を貸してしまうことで詐欺被害者になってしまうこの詐欺ですが、「名義を貸す」という行為そのものをしないように高齢者に呼び掛けることが大切です。
特に、見知らぬ相手に名義を貸すことの恐ろしさについても理解を深めるとともに、認知能力の低下がみられる高齢者については家族で話し合い成年後見制度や、お金の管理体制について話し合うことが必要です。
簡単に数百万というお金が、見ず知らずの人の手に渡ってしまう恐ろしい世の中です。
高齢者の単身世帯も増えており、このような詐欺の対象になってしまいがちですが、世帯が別でも家族や親しい人たちに困ったことを相談できる環境を整えることで、自己判断による被害は少しでも軽減できるのではないかと思い
ます。