老人ホームを探すと決めたら-特別養護老人ホームについて⑧

チェリーセージ

こんにちは。
入居者さんの遠方に住んでいるご子息から電話がかかってきたのでご本人に受話器を渡したところ、「なんかもしもし言ってるんだけど。なんなのこれ?」と、真面目に聞かれた朝です。
電話って難しいですねえ。息子さん、めげずにまた電話お待ちしてますね!

今回で特養編は最終回になります。

最終回は施設の設備について書きたいと思います。

たまに、介護は心だ。立派な設備が整った豪華なホームよりも、優しいスタッフのいる温かい環境が一番だ。という話しを耳にしますが、これは半分正解で半分間違いだと思います。
確かに人間関係は人生で最も重要な問題のひとつでしょう。人生の終盤にいい人たちに囲まれて過ごせるかどうかは最大の関心事項です。
では、介護現場の「いい人」とはどこから生まれるのでしょうか。一番初めに書いた通り、私は介護スタッフというものが博愛の精神に満ちた生まれながらの「いい人」だなんてこれっぽっちも考えていません。
介護は肉体労働の一面を持ち、夜勤もあります。しかも関わる人は待ったのきかない認知症です。
介護職になろうという人は、相手が認知症だとか排泄の介助をするんだとかお客さんには親切にニコニコととかそんなことは当然分かった上で入職しています。
ただ、具体的に何時までに何人をどうしなければいけないとか、今この人の介助をしている間にもあの人が転んでいるかもしれないと焦りまくることとか、自分がこれを何時までに終わらせなければ食事の時間に間に合わないとかほかのスタッフに迷惑がかかるとか、そんな状況までを予測して入職する人はあまりいないでしょう。そのような状態で利用者さんに優しくできるでしょうか。高齢者のペースをゆっくりと見守り、穏やかに話しかけることがどれだけできるでしょうか。

少なくとも私は、現時点での介護施設での優しさとは「余裕」だと考えます。
例えば3階建ての施設で、汚物の入ったゴミ袋を1階のゴミ置き場に持っていかなければならないとします。汚物を食事も運ぶ普通のエレベーターに乗せることはできませんので、スタッフが手に持って非常階段を下りなければならないとします。ゴミが6袋あれば3往復しなければならないかもしれませんし、体力を使います。その上、その間利用者さんはほったらかしです。この間にもあの人が転んでいるかもしれない。もし転んだら骨折するかもしれない。骨折したら救急車を呼んで家族に電話しなくちゃいけないのかなあ…なんて悪い予感でヒヤヒヤしながら半分かけ上がるようにして3往復し、ゼエゼエしながらフロアに戻ると、くだんのあの人がまさに立ち上がって一歩を踏み出そうとしている…「○○さん!!」
思わず叫ぶ。

はい。ピリピリした雰囲気の出来上がりです。
もしこの施設にダムウェーター(ゴミ用のエレベーター)があったらどうでしょう。ゴミを6袋降ろさなくてはならないとしても3階で全部ダムウェーターに放り込み、スイッチを押して1階に下り、捨ててくれば1往復で済みます。焦燥感に駆られる時間と転倒リスクは少なくて済みますし、省けた時間で利用者さんに一声かけることも可能でしょう。

設備とは、人の手間を省くためのものです。
設備が整っていればそれなりの時間短縮も見込めますし(たまに謎の設備も見かけますが)それだけ職員に余裕が生まれます。その生まれた余裕をどこに使うかはまた別の問題として、ないよりはあった方が生まれた余裕を利用者さんに向ける見込みが増すというものです。
介護施設は、施設によって設備がかなり異なります。
施設自体が足りない状態なので、設備が整ってなかろうが古かろうが、稼働していかないと間に合わないのです。

と、いうわけでもし自分の身内を特養に預けるのなら、私だったら見学に行ってみて雰囲気によほどの違いを感じなければ設備の整った方にするでしょう。
雰囲気について言えば、介護施設の雰囲気はスタッフのカラーによってかなり決まってきます。転職のものすごく多い業界の事情も鑑みると、施設の雰囲気は案外コロコロ変わるかもしれないと思うのです。そうすると単純に考えて新しい施設の方が期待できるような気がします。
 だから待機中に新しい施設ができるときは見に行くことをお勧めするのです。まだ利用者さんがいないときに内覧会を開いたりする場合はお風呂場や裏の設備まで見せてくれることもあるかもしれません。見てくるだけでも楽しい(と、思うのは私だけ?)と思いますが、いかがでしょうか。

ここまで個人的な感覚で特養の選び方を色々おススメしてきましたが、やはり百聞は一見にしかずです。一人一人の個性に合った施設は、やっぱり本人や家族にしか分からないものです。ぜひ自分の目で見て確かめて、納得のいく施設探しができることを応援しています。
以上で特別養護老人ホームについてを終わりたいと思います。最後までお付き合いいただきありがとうございました。

次回からは介護老人保健施設について書きたいと思います。

介護老人保健施設について①へ続く

ABOUTこの記事をかいた人

主な経歴は約6年の介護付き有料老人ホームの介護スタッフで、現在3ヵ所目の有料老人ホームで相談員として働き始めたところです。 有料老人ホーム以外にも特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、グループホーム、ショートステイ、デイサービス、デイケア、お泊まりデイの現場も見てきました。 半年間ではありますが、介護老人保健施設の相談員も経験しています。