高齢者における災害発生後の様々なニーズ

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高齢者の情報からの孤立

 高齢者は元々、聴力や視力、認知機能の低下などからコミュニケーションに困難がある場合があります。また近年発達したネット環境も使いにくく、更に被災後はショックや疲労などから、情報を収集する余力も低下してしまいます。

災害後には支援や生活再建について多くの情報が伝達されますが、特に認知症を持つ独居の高齢者には理解できないことがあります。このような状況を理解し、高齢者が情報から孤立してしまうことで不利益を被ることを防ぐ支援が必要となります。

 情報を配信する場合は、高齢者にもわかりやすい内容やレイアウトにしたり、個別の配布が必要となります。また高齢者に接する時には、情報が行き届いているか理解できているかを確認してください。

必要時には手続きに関するサポートを行ってください。

高齢者のメンタルヘルスや認知症について

 成人や若年者と同様に高齢者も災害による様々なストレスのため、PTSDやうつなどを発症する可能性があります。高齢者のメンタルヘルスを維持・向上させるための支援も大切です。心身の状態をアセスメントしたり抱える不安について話を聞き、可能な部分は対応策を練ったり医療機関や専門家に繋げる必要性があるかどうかを判断してください。

 また、災害による疲労や体調の悪化があったり避難所生活など生活環境が変化する場合は、認知症の増悪が見られたり、せん妄が発症することがあります。せん妄は認知症と鑑別が必要な一過性の脳機能障害ですが、対処方法には共通した部分もあります。基本的に介護する側は高齢者の不安な気持ちを受け入れ、穏やかな態度で接してください。

また、生活リズムがつくように日光や照明を配慮し、活動範囲にある危険なものは排除して日中の活動性を高めるようにしてください。

周囲の人との交流は大切で、コミュニケーションがとれるように調整します。それでもその場所での生活の継続が困難な場合は、ショートステイなどを考慮してください。

生活環境を変化させる必要があるとき

 高齢者は環境の変化に柔軟に対応することが難しいとされています。

しかし、災害の規模が大きかったり復興に長期的な時間が必要なときは、元の居住地に住み続けることができず、継続した人間関係も断ち切られることがあります。そのような環境の変化によって、孤独感を増強し心身の健康を損ねる場合があります。

避難所に移ったりその後の引っ越しなどを余儀なくされる場合は、高齢者の認知機能や精神状態を把握する必要があります。

自己決定が可能な状態であれば、高齢者のペースに合わせて話を傾聴し、今後の居住地について自己決定を支援しましょう。

認知機能が十分でない場合は、ご家族や後見人と相談してよりよい方向性を探っていきます。

被災前となるべく近い場所での生活を望む高齢者が多いと思いますが、医療や福祉などの社会資源やご近所づきあいなどの人間関係も保たれるように努めてください。