胃ろうを持つ高齢者の介護について

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胃ろうとは何ですか?

高齢者介護を担う方でしたら、胃ろうを造設した高齢者にお会いする機会は多いと思います。

胃ろうとは、内視鏡を使って造られた「おなかの小さな口」のことです。

口から食事を摂ることが難しい方や、食べても誤嚥して肺炎などを起こすリスクの高い方に対して、胃に直接栄養を入れる投与方法です。

手術は比較的簡単なもので体への負担も少ないため、体力の落ちた高齢者でも受けやすく、全身状態の改善が見込めると言えるでしょう。

胃ろうの長所と短所

 胃ろうの造設による長所と短所は以下のようなものです。

【長所】
・栄養管理が長期的に可能
・経鼻胃管(鼻からチューブを入れること)より体への負担や苦痛が少ない
・介護負担が少ない
・喉にチューブがないため、口から食べるリハビリが行いやすい
・誤嚥性肺炎のリスクを軽減できる
・見た目に気付きにくく邪魔にならないため、社会性を維持できる

【短所】
・胃ろう周辺の皮膚トラブルが起きやすい
・口を使わないため、口腔内が不潔になりやすい
・食べなくても満腹感があるため、経口摂取の意欲が低下する
・胃ろう専用の栄養剤が高価である
・認知症やせん妄の利用者では、自己抜去のリスクがある
・定期的なカテーテル交換が必要(半年に1回など)
※交換は往診や病院などで医師が行います

胃ろうカテーテルとそのケア

胃ろうはカテーテルの種類で、胃内の固定版がバルーン型とバンパー型、体外の固定版がボタン型やチューブ型で各々を組み合わせた4種類に分けられます。

ボタン型の方がより目立たず邪魔になりませんが、チューブ型の方が接続しやすいなどの違いがあります。介護現場ではほとんど体外部分しか目にすることがありませんが、ボタン型でもチューブ型でも基本的なケアは同じです。

「おなかに穴が空いている」ということで胃ろうを怖がる介護スタッフもいますが、胃ろう周囲を清潔に保つことは重要です。

造設後一週間ほどたてば普通に入浴が可能で、胃ろうから体内にお湯が入ったりすることはありません。

入浴しない日は1日に1回程度、胃ろうの周囲を清拭や洗浄してください。

胃ろうに対する考え方

栄養摂取は人が生きていくうえで欠かすことができない非常に重要な項目です。

胃ろうでの栄養摂取は前述のように多くの利点がありますが、高齢者になった時に胃ろうをせずに尊厳死を望む人も多いことも事実です。

それは一旦胃ろうを造設すれば半永久的に必要と思われていることや、自身の意思に関係なく機械的に栄養を注入され生かし続けられてしまうという印象があるからだと思います。

確かに長期的に胃ろうを利用する高齢者が多いことは確かですが、摂食や嚥下の適切なリハビリを行い状態が改善すれば、経口摂取に戻ることもできます。

ただ、一度胃ろうでの栄養投与を開始すると、代わりの投与方法を確保せずに中断することは周囲の心情的に難しいでしょう。

それは、栄養を注入しなければ、ゆっくりと死に向かうことが予測されてしまうためです。

そのため高齢者介護の現場では胃ろうを造設する前に、高齢者自身やご家族の意思を尊重できるように、知識を提供したり親身になってお気持ちを聞いたりすることが大切なのではないでしょうか。

胃ろうによる長所と短所の両方を理解し、造設したことでその高齢者のQOLが向上する援助ができるように努めたいですね。