高齢者の入浴介助の現場について

高齢者ねっと

入浴介助の現場について

高齢者における入浴効果

入浴の介助は、高齢者の身体介護で最も介護者が体力を消費するケアの一つではないでしょうか。

移乗に問題のある高齢者も多く、入浴拒否をされる方がいたり、また浴室や脱衣所は温度が高く設定されているので汗だくになってしまうでしょう。

入浴は身体的にも精神的にもたくさんのメリットが期待できるものなので、適切な頻度で行ってほしいと思います。身体的な効果としては、血行が促進されることで浮腫の軽減や褥瘡の予防・解消につながること、全身を清潔に保つことで感染予防が期待できることなどがあります。

また精神的にも、リラックス効果や清潔の保持により気分が向上し、良眠にもつながるでしょう。

入浴の形式

座位を維持するのが難しくなったり浴室や浴槽が狭い環境では浴槽に浸かるのが難しく、シャワー浴で済ませてしまう自宅や施設もあると思います。

しかし個人的な意見ですが、可能な場合は是非環境を整えて、浴槽にザブンと浸からせてあげてください。シャワー浴のみよりも温まり方が格段によく、ご本人も「お風呂に入った」というスッキリ感があり、また綺麗になる度合いにも違いを感じるからです。

高齢者が自宅におり、要介護度が上がるなどの理由で訪問介護での入浴介助が困難になった場合は、訪問入浴のサービスを導入することも一案でしょう。

必要時ご家族やケアマネジャーや多職種との連携を図っていくことも、高齢者介護に携わるスタッフの重要な役割の一つであると考えます。

高齢者に対する入浴介助

入浴介助を困難にする原因の一つに、高齢者の入浴拒否があります。

特に認知症の高齢者が入浴拒否をする理由として、その浴室や脱衣所が高齢者にとって不愉快な場所になってしまったり、入浴や脱衣動作が不安な気持ちを引き起こすものであることが考えられます。

また裸になることに恥じらいがあったり、脱いだ服や貴重品を盗られてしまう妄想や、体を動かすことが億劫なために入浴が面倒臭いなどといったこともあるでしょう。

入浴を強要することは逆効果で、次回からは更に強い介護拒否を生じてしまう可能性があります。

基本的には優しい言葉で、高齢者ご本人が納得して自発的に行動できるように誘導することがベストです。

脱衣所が寒かったり暗い場合は浴室と同じ程度に温めたり照明に配慮することで、服を脱ぐよう促しやすくなり、ヒートショックも避けることができます。

どうしても入浴に抵抗がある方では、介助者が一緒になって入浴したり、デイサービスのように大浴場では入浴することが可能な場合もあります。

健常者の日常生活では自分だけが全裸で周囲に見られてしまう場面は少ないため、「裸なのは自分だけではない」という状況がよいのかもしれません。また「洗濯しましょう」「お体に傷がないか見ますね」などと、入浴から視線を逸らせた声がけが有効な場合もあります。

高齢者が入浴を辛いと感じてしまう時には、疲れが少ない午前中などに入浴を行い短時間で済ませることも必要ですが、状況によって時には諦めることも重要な介護の一つだと考えます。

日本人は伝統的にお風呂に入る生活を続けてきました。そのためか、入浴までは大変ですが、一旦入ってしまうと今度はなかなか出たがらなくて介助者を困らせてしまう高齢者にもたくさんお会いします。

介助者も高齢者も気分よく入浴し、その効果を享受できる生活を送れるといいですね。