高齢者施設における脳トレについて「漢字の書き取り(旧制高等小学校編)」

浜離宮の桜

これは偶然にも、女学校の教師であった方が自宅に大切に保管されていたもので、昭和初期に発行された書き取りの本でした。

明治の教育制度に則ったものでしたから、現代の学習指導要領では中学生レベルの漢字に該当します。

書き取りの方は、小学校高学年でも物忘れでかなり苦戦していた利用者が、読み仮名を振る、この漢字練習帳では殆ど覚えていました。

全問正解者もたくさん出ましたし、もっとやりたいと懐かしさからか、意欲的に取り組まれる利用者もいました。

当時にしか使われていない、例えば旧省庁の名称(例:逓信省)や、コート(外套)など、カタカナの方がスタンダードになっている名称も、時代を偲ばせ、どの利用者も懐かしがっていました。

大正・昭和一桁生まれの方向けで、その方たちは好んでされましたが、新制教育を受けた年代の方は避けて、別の漢字の書き取りを配布しました。

ただ、在籍した施設が偶然、旧教育制度の高度な学力を有した方たち(旧制女学校・旧制中学や高校、師範高等学校など)が利用者の中の割合で多人数でしたので、この脳トレは回数も枚数も多く使用できたのであり、本人の生い立ちに配慮する必要はあります。

実際に取り組んだ利用者たちは、当時にしか使用されていない物の名称もすらすらと説明され、回想されていました。長期記憶として、本人たちの中に確かに残っているのだと実感します。ただ、第二次大戦の話まで出てきて、苦い思い出話などはあいづちを打つのに悩むことも稀にありました。

この本を提供してくださった利用者は、当時教えていた優秀な女学生の話を懐かしく誇らしげに語られ、何とも言えない感慨を覚えましたが、本人が喜んでいたのでこれを使用して良かったと考えるようにしています。

ただ、提供できる職員が限られてきますのと、解答出来る利用者も限られるので、通常の漢字の書き取りや算数などに飽きた利用者の中で、目新しさを感じて貰うために行うのも一つの方法かと思います。

高度な知識などを持ち合わせた利用者は、小学校レベルの漢字や算数などは「そんな簡単な事は出来ないわ」と率直に申し出る方もいましたし、程度の低い素材では、認知症を疑われているのではないかと、尊厳を傷つけらたかのように感じる誇り高い方もいますので、そういう方には、回想法にもなりますし、お勧めの脳トレかと思います。

博物館寄贈もので、通常では手に入りませんので、実際に使ってみたい方はインターネットや図書館で探してください。

高齢者の頭の体操、脳トレとはどんなものがあるのか聞いてみました。