高齢者施設における脳トレについて「塗り絵」

脳トレで元気に

この脳トレもすっかり定着したもので、医学的にも証明されているものです。

ただ、素材によっては、「子どもじゃないから」と敬遠する利用者も少なからずいるので高齢者の興味を引く素材を探す必要性があります。

季節や行事に添ったが多いのですが、昭和初期の少女向け雑誌の挿絵風や竹久夢二風の素材だと結構喜ばれますし、色使いも独特の感覚で表現する絵心溢れた利用者もいて、逆にこちらが「脳トレ」であることを忘れるほど、才能豊かな方もいました。

パステルのように色鉛筆を使い、独特のタッチで仕上げていくので、著名な洋画家(印象派やバルビゾン派、ルネサンス絵画等)の模写ができるよう、素材をダウンロードして渡すと、喜んで取り組み、その人自身が感じたままに塗っていました。

他の利用者達からも賞賛されることが多く、本人の自信ややる気に繋がっているようですし、作業療法の見地からは、精神面での効果が大きいようです。

他の利用者も無心に仕上げる事が多く、集中して取り組んでいるので、集中力を維持することと、視覚の刺激という点においては特に効果があったものと思われます。

また、精神的に欝状態であっても、自分の好きな絵柄の塗り絵をすることで落ち着いた状態になり、安定した精神状態を維持できる点もあるようです。

なかには子どものように、隣席の方と色鉛筆の取り合いをする人もいたりしたのですが、それが元で施設利用を欠席することはなく、また精神的に不安定になることもなかったので、俗に言う「慣れたが故の“地”が出てきた」状態として対応しています。

効果として顕著であったのは、脳梗塞から左片麻痺となり要介護4であった人が、退院後のリハビリとして利用時に毎回行い、3ヶ月ほど継続して取り組むと見違えるように上達したのは印象的でした。

開始当初は病後の不安・落胆などから精神的に不安定な状態であったのと、思うように手を動かせないために、苛立ちから来るのか3歳児の絵画のように色使いも線も乱暴で投げやりな描き方がしばらく続いたのですが、施設利用で毎日の生活サイクルが出来てくると、段々と落ち着き、また理学療法のリハビリ効果も出てきたので本人が精神的に安定したのか、きちんと枠内に納まるように描かれ、また色使いも本人が楽しみながら工夫するまでに至りました。

その後、要介護度も3に上がり、様々な素材の塗り絵もこなして楽しみの一つとなっています。

塗り絵については、その利用者一人ひとりの多種多様な良さを引き出す脳トレであると感じています。

高齢者の頭の体操、脳トレとはどんなものがあるのか聞いてみました。