脱水に注意!なぜ高齢者では水分が不足しやすいのか?

淡いエーデルワイスの花

ご高齢者では、体の機能の衰えにより、食事量が少なくなり、栄養不良を起こしやすいことが言われています。

中でも、水分は、不足すると脱水を起こし、時に命に関わる状態を引き起こします。

今回は、高齢者でもっとも不足しがちな栄養素、水分についてお話しましょう。

なぜ高齢者では脱水を起こしやすいのか?

高齢になると、水分の不足に気づきにくくなり、いつの間にか脱水を起こしているケースがあります。

なぜ加齢とともに、水分が不足しやすくなるのでしょうか。その理由をご紹介します。

●のどの渇きを感じにくくなる

通常、体の水分が足りなくなると、脳の中心部にある口渇中枢(こうかつちゅうすう)という水分量センサーが反応します。口渇中枢は、水分の不足を感じ取ると、口の中の唾液の分泌量を減らして、口やのどの渇きを覚えさせる働きがあります。

しかし、高齢者では、口渇中枢の働きが鈍くなってしまいます。そのため、少し水分が不足しただけでは、口やのどの渇きを覚えにくくなり、水分の補給が遅れてしまうのです。

●腎臓の働きが落ちる

体の水分が減少すると、血液が少し濃くなります。通常、血液が濃くなると、脳の中心部から腎臓へ向けて抗利尿ホルモン(ADH)というホルモンが分泌されます。このホルモンは、腎臓に対して、「尿から水分を再び吸収して、水分を体に留めなさい」という信号を送ります。濃くなった血液を薄めるために、水分が出ていくのを防ごうというわけです。

しかしながら、高齢者の腎臓では、抗利尿ホルモンの信号をキャッチする働きが衰えています。したがって、水分不足で血液が濃くなっているにもかかわらず、尿からたくさんの水分が失われてしまい、脱水が進行してしまうのです。

●食事量が減る

健康な人では、1日の水分の半分は、食事の中に含まれる水分で摂取しています。通常私たちは、1日に2,000~2,500mlの水分を摂取しているため、食事からの水分摂取は、1,000~1,200mlにも及ぶのです。

そのため、食事量が減ってしまうと、必然的に水分の摂取量も減ってしまいます。食事量の少ない高齢者では、食事が減った分の水分を意識的に取る必要がありますが、のどの渇きを感じにくいため、十分な量の水分を摂取するのが難しくなります。

脱水の兆候は体のあちこちに現れる

本人が自分で水分を取れる場合は、意識して水分を取るように注意することで、脱水は防げます。しかし、意識がない、寝たきりなど、自分で水分を取れない人では、介護者が、以下のような脱水の兆候がないかどうか、常に注意して観察する必要があります。

●皮膚の張りがなくなる(ツルゴールの低下)

脱水が起こっていると、皮膚をつまんで持ち上げても、なかなか元に戻らなくなります。

手の甲、向こうずねの表面(脛骨前面)の皮膚をつまんでみて、戻りが遅ければ水分不足による脱水が疑われます。

●口の周りや口の中が乾いている(口腔粘膜の乾燥)

水分が不足すると、粘膜が乾燥しやすくなります。したがって唇がガサガサしていたり、口の中の粘膜や舌の上などが乾いていたりすると、脱水を起こしている可能性が疑われます。

●わきの下が乾燥している(腋下乾燥)

寝たきりの人では、常にわきを閉めた状態であるため、わきの下は汗で少し湿っているのが通常です。しかし、脱水があると、わきをずっと閉めているにもかかわらず、わきの下が乾燥します。

●爪の毛細血管に血液が戻るのが遅くなる(毛細血管再充満時間の延長)

爪を指で強く抑えると、毛細血管から血液が出ていくため、その部分は白くなります。そして指を離すと、すぐに血が戻って赤くなります。

脱水の時は、血の戻りが遅くなり、しばらくの間白いままになります。高齢者では、4秒以上白いままであれば脱水が疑われます。

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いかがでしたか。
このように、高齢になると、水分は体から失われやすくなります。
ご高齢者の食事を考える際は、常に水分摂取を念頭において、脱水を起こさないように注意しましょう