「在宅介護」という覚悟

水面に浮かぶお花

私には、理由あって遠く離れて暮らしている父がいる。

父は北海道の開拓移民の子、戦後直後の中で子守をして親は昔は燃料の主流だった石炭を掘って生計を立てていた。

義務教育が終われば家計を助けるために船と列車を乗り継いで東京へ集団就職、いわゆる『金の卵』と言われていた世代。
私はその娘として生まれたけど、学生の頃は進路の違いでよく喧嘩をしていた。

父の苦労は分かる、その父が頭を下げて泣く泣く進路変更する事もあった。
関係は平行線のまま、ある日父が行方不明となった。
あれから月日は流れ、独立した妹から「お父さんから連絡が来た」と。

それだけでも驚きなのに、さらに驚いたのが「しばらくしたら祖母を引き取る」と。
家族一同、言葉が無かったが「出て行く前に一筆残せ!」と説教した私がいた。

父方の祖母は、祖父が既に他界しているので北海道で一人暮らし。
以前から祖母の事は気にかけていて、車すらない祖母に不便だろうと思った事と、現在父が住んでいる場所は地方でありながら立地条件がよくて居心地がいい。

知らない人でもすぐに仲良くなってしまう、私には無い父の人徳で友達がたくさんいる。

計画は既に動いていて、いきなり父と住む前に東北の親戚に住んでから祖母と暮らせる家を探して、あいさつ回りも済ませてから父は祖母を引き取った。

父の現在は、一会社員として昼は働き、夜はご飯を作って祖母と一緒に食べている。
祖母は仲良くなった近所の方とお茶を飲みながら、のんびり過ごしている。

「大抵、面倒が見きれないから老人ホームに送るよ」と、父が言っていた。
だけど、母は「昔から生きていたら両親を引き取るつもりだったのよ」と言っていた。

長男の使命、といえばそれまでだけれど、一時は家族から姿を消す目に遭いながら祖母の身を案じていたのは、娘として謝ろうと心から思った。