起立性低血圧について、原因から症状・予防対策まで詳しくまとめてみました。

向日葵畑

起立性低血圧について

ゴールデンウィークが過ぎて、暑い季節に突入してきます。
これからの季節に注意が必要なのは脱水や熱中症などが挙げられますが、起立性低血圧という病気をご存じですか?

起立性低血圧というのは寝ていたり、座ったりしている状態から立ちあがった時に血液の循環がスムーズに行われずに、脳への血のめぐりが悪くなる状態です。これにより立ちくらみ、めまいだけではなく、症状が重たい場合は倦怠感、頭痛、動悸、失神などの症状がでます。

また転倒などをして大怪我をしてしまう恐れがありますので、正しい知識を身に付けて、予防できるようにしましょう。

そもそも血圧とはなに?

まず基礎知識として血圧について知っておきましょう。

そもそも血圧とは血が流れる時に血管の内側から血管の壁を押す力のことです。

そして血圧の仕組みを【蛇口=心臓】【水=血液】【ホース=血管】【圧力=血圧】で例えるとします。

水道の蛇口(心臓)から出る水(血液)の量が少ない場合、ホース(血管)を摘むと柔らかく、逆に水の量が多いとホースはピンっと張って硬くなります。ホースを摘んだ時に感触が柔らかい時は水がホースを内側から押す力が弱く、圧力(血圧)が低いということになります。逆に硬い場合は内側からの力が強く、圧力が高いということになります。

同じことが私たちの体の中でも起きており、血液は血圧の高い部分から低い部分へと流れることで体内をスムーズに循環するので、私たちの体では全身に血液を送る為に最初は心臓から勢いが強い血液が出されて、血圧が高くなっていますが、体を循環しているうちに勢いが弱くなり、血圧が低い状態で心臓に戻る仕組みになっています。

血圧の目安とは?

人によって血圧の数値は異なりますが、血圧治療のガイドラインでは以下の指数を目標としています。
【60~80歳代の目標指数】
・60歳代:140/90㎜Hg
・70歳代:150/90㎜Hg
・80歳代:160/90㎜Hg
起立性低血圧の血圧は起床後3分以内の血圧が通常の値の最高血圧20㎜Hg以上、最低血圧10㎜Hg以上の低下する状態です。

≪低血圧の定義≫
低血圧とはいつ測っても血圧が基準値よりも低い状態のことを表しますが、実ははっきりと低血圧は基準が決められていません。多くの医師は最高血圧が100㎜Hg以下、最低血圧が60㎜Hgのどちらか、もしくは両方を示した場合に低血圧と説明しています。

高齢者に起こりやすい理由とは?

起立性低血圧は10代の若者や産褥期の方にも起きますが、特に高齢者がなりやすい症状です。

その理由として高齢者は重力に対する抵抗力が落ちてしまい、脳の血圧を調整する機能や心臓のポンプの機能が低下してしまうことや為に血管の収縮する反応が鈍くなり、立ち上がった直後に血圧の低下を起こしやすくなることが挙げられます。
さらにその要因の背景として

・出血や利尿薬の過剰内服などにより体を循環する血液の減っていること
・動脈硬化や糖尿病や自律神経障害をきたす持病があること
・抗うつ剤などの薬剤の使用していること
が挙げられます。
また偏った食生活などの生活習慣も影響します。

低血圧の種類とは?

そして低血圧には起立性低血圧の他にも種類があります。
①本能性低血圧
②症状性低血圧(二次性低血圧)
③起立性低血圧

①は低血圧を起こす病気が存在しないのにおこる低血圧で、遺伝的な要素があると考えられています。
②は心筋梗塞や肺血栓などの心臓や肺の病気、代謝性のホルモンバランスが変化する病気、抗うつ剤などの服用する薬の影響で起こる低血圧です。

起立性低血圧の種類とは?

起立性低血圧の中にも種類があります。
①直後型(1型):寝たり、座ったりした状態から立ち上がった直後にすぐに血圧が下がる。
②遅延型(2型):立った後、10分くらいかけて少しぐらい血圧が下がってくる。
③中間型(3型):1型と2型の中間に位置する。
高齢者には遅延型(2型)が多いのが特徴的です。
その為に立ち上がって10分くらいは活発な行動は控えて、ゆっくり体を慣らして様子を見ることをオススメします。

どのようなタイミングにおきやすいのか?

その人の状態によって異なりますが、多くの場合は下記のタイミングに注意が必要です。

  1. 食 後:食事を摂取すると消化管の血流が急速に増大する為に血圧が低下しやすくなります。
  2. 排便後:便を出す為に力を入れると副交感神経が興奮するので、血管の収縮反応が起こりにくく血圧が低下しやすくなります。また排便に時間がかかる人では便座に座る時間が長くなることが要因の1つだと考えられます。
  3. 就寝後:就寝中は副交感神経が働いています。副交感神経は体を休ませている状態の為に血圧を調整する機能が低下しています。その為に就寝の途中のトイレや起きた際に血圧が低下しやすくなります。
  4. 入浴後:浴槽に浸かって体に水圧がかかり手足の血液が押し戻されて血圧が高い状態になります。浴槽から出ると水圧がなくなる為に手足に血液が流れようとする為に上半身の血圧が低下しやすくなります。詳細は次の項目に記載しています。

起立性低血圧の事故について

近年では起立性低血圧の事故が入浴中に多いことがわかりました。

高齢者の入浴中の死亡事故は年間14000人以上となり、その中で起立性低血圧での事故が大部分を占めているとも言われています。

そして入浴事故の最大の誘因は温度変化にあると考えられています。

入浴で体が温まると血管拡張による血行の循環が促進されて体の隅々まで酸素の供給を増えます。その効果で心臓への負担が軽くなり、心拍出量の増加があります。

しかしこれらのことは高齢者では逆に心臓に負担がかかる場合があったり、湯温や室温の違いによって異なったります。脱衣場が寒いところでは血管が収縮するために血液は心臓、脳、消化器などの臓器に偏って循環します。脳や心臓の動脈硬化があるとこれらの臓器を流れる血流量が急激に減少して虚血状態が生じます。また長く高温での入浴をすると発汗による血液量減少や血液凝固亢進状態を起こし、脳梗塞や心筋梗塞の引き金になりえます。

さらに脱衣場の室温が低い場合は、入浴前にすでに血圧の上昇が起こり、高温浴ではさらに上昇します。その後の血圧は低下し始め、入浴後、およそ4、5分たった頃には最高血圧は入浴前よりも5~30%に低下します。入浴する時間が長くなり、浴槽が出る時の立位動作に伴い、さらに下降する場合があり、これらの状態は起立性低血圧と同じ要因になります。

入浴時の注意事項として以下に挙げた内容を心掛けてください。

  • 湯温は39℃~40℃くらいで長湯をしない
  • 脱衣場や浴室の室温が低くならないようにする。
  • 食後直後や深夜に入浴しない。
  • 気温が低い日は夜早めに入浴する。
  • 心肺の慢性疾患や高血圧症を持つ人は半身欲を行う。

起立性低血圧の危険性とは?

高齢者の方は起立性低血圧を起こして転倒した場合、腕や足の骨を折ったり、頭を打ったりして脳出血などをしてしまう恐れがあります。その結果、手術やリハビリをすることありますが、中には寝たきりになってしまう人もいます。

そのようにならないように日頃から低血圧にならない為に予防をすることがオススメします。

予防と対策とは?

起立性低血圧の予防は日頃からの食生活や持病の治療によって異なります。

かかりつけ医に相談して対応していくことがオススメします。

また対策として
・急激な起き上がりを控える。(ゆっくりと上半身だけを起こし、次に頭を下げながら立ち上がる)
・下肢の運動
・弾性包帯や弾性ストッキングの使用

介護をする人の注意事項

車いすを使用したり、ベッドで寝たきりの生活をしたりする人の場合も起立性低血圧に気をつけなければなりません。

介護をする際の以下のことに注意をしましょう。
・足元を30°挙上する。
・急激な体位変換(体の向きを変えること)を避ける。
・ベッドで過ごしている時は頭を高めにして、上半身を斜めにする。

もし立ちくらみが生じたら?

もし起立性低血圧が生じた場合は頭を低く保つと効果があります。
その場で無理して座ったままや立ったままは転倒した時の怪我に繋がる為に横になるか横になれない場合でも頭を低くして対応しましょう。

介護保険の利用について

介護保険制度のサービスには起立性低血圧に対する相談できる内容のものがあります。
すでにサービスを利用している人やこれから利用を検討している人は参考にしてください。

≪介護保険制度とは≫
40歳以上の人が加入者として介護保険料を負担することで、介護が必要と認定された人は費用の一部を支払うことで介護保険のサービスを利用する制度です。

≪介護保険の対象者≫
①65歳以上の人(第一号被保険者)
原因を問わずに介護や日常生活の支援が必要になった時に、市区町村の認定を受けてサービスを利用することが出来ます。

②40歳から64際の人(第二号保険者)
行政が指定している病気により介護や日常生活の支援が必要になった時に、市区町村の認定を受けてサービスを利用することが出来ます。

≪申請からサービスを受けるまでの流れ≫
①市役所などの介護保険の担当窓口に申請に行く。
②認定調査を受けて、主治医意見書をかかりつけ医に記載してもらう。
③市役所で判定介護が行われる。
④等級が認定される。
⑤サービスを利用するためにケアプランを作る。
⑥サービスの利用を開始する。

≪サービスの一部≫
訪 問 看 護 :看護師が生活の場へ訪問して看護ケアを提供してくれるサービスです。
このサービスでは起立性低血圧を防ぐ為の体の姿勢や起立性低血圧になった時の対処方法の相談や指導をしてくれます。
また入浴中に血圧の変動が激しい人の入浴介助を行い、血圧の管理を行ってくれます。

訪問リハビリ:理学療法士、作業療法士、言語療法士等が生活の場へ訪問してリハビリテーションを提供してくれるサービスです。
このサービスでは起立性低血圧を防ぐ為の体の姿勢の相談や指導をしてくれます。

最後に

起立性低血圧は誰にも起こりえる症状ですが、検査では事前に発見することは難しいです。

定期的に起立時の血圧の測定を行い、日頃からの血圧のチェックを心掛けることが必要になります。

そしてこれらの内容はすべての人に当てはまるとは限りませんので、かかりつけ医と相談して起立性低血圧の予防を心掛けてください。