認知症高齢者の命に関わる誤嚥性肺炎

ピンクの薔薇

誤嚥(ごえん)によって起こる肺炎を誤嚥性肺炎といいます。

認知症高齢者の命に関わる重大が問題のため、わずかな兆候を見逃さないことが大切です。

グループホームで誤嚥性肺炎を防ぐために大切なことを、誤嚥性肺炎の解説を交えて、説明していきます。

誤嚥による細菌感染

誤嚥性肺炎は、食べ物や唾液が、本来なら入ることのない気管に入ることで起こります

誤嚥とは、”誤って飲み込む”という意味です。食べ物や水分を飲み込むときに、その一連の働きがタイミング良く行われていれば、食べ物は食道を流れていき、気管に入ることはありません。しかし、物をうまく飲み込めない状態(嚥下(えんげ)障害)になると、食べ物が誤って気管に入りやすくなります。

物を飲み込むとき、食べ物や口の中にいる細菌をいっしょに飲むことになりますが、抵抗力のある健康な人では、この細菌が問題になることはありません。しかし、嚥下障害を持った認知症高齢者では、体力の衰えとともに細菌への抵抗力も弱まっているため、誤嚥によって気管や肺で細菌が増えやくなります。

高齢者の命を奪う誤嚥性肺炎

抵抗力の弱い高齢者にとって、誤嚥性肺炎は命に関わる重大な問題です。

誤嚥性肺炎は、1回起こると、繰り返し再発しやすい特徴があります。何度も再発が続くと、そのたびに体力を大きく奪われて、栄養状態や悪くなり、筋力がどんどん落ちていってしまいます。

日本では、肺炎で亡くなっている人の9割以上は75歳以上の高齢者ですが、そのうちの70%以上が誤嚥性肺炎によるものと見積もられています。90歳以上になると、この割合は90%以上にのぼります。

誤嚥や誤嚥性肺炎が疑われる兆候

グループホームでは、誤嚥や肺炎の兆候が見られたときに、食事のし方や形態が本人の飲み込む力に合っているか見直すことが、誤嚥と誤嚥性肺炎の予防につながります。

以下のような兆候がわずかでも見られた場合は、特に注意して経過を見てあげる必要があります。

●むせる

“むせ”は、食べ物や水分が気管に入っていることを示す重要なサインです。特に、食事のたびにむせている場合は、誤嚥が強く疑わるので要注意です。水分や水気の多いものにトロミを付けるなどの工夫が必要な場合があります。

しかし、むせがないからといって誤嚥が100%ないとは言い切れないため、その他の兆候が見られないか、気を配る必要があります。

●食後にガラガラ声になる

誤嚥が起こると、空気の通り道を食べ物や水分が邪魔するため、ガラガラした声(湿性嗄声:しっせいさせい)になることがあります。特に、食後にガラガラ声がよく聞かれる場合は、誤嚥している可能性が高くなります。

●食べるのに時間がかかる

むせる、声がガラガラするなどを本人が嫌がって、食事にとても時間がかかるようになることがあります。認知症高齢者では、好き嫌いのために時間がかかることもあるため判断は難しいですが、誤嚥の兆候としても見られることを意識しておきましょう。

●食事の量が減る

食べるのに時間がかかる場合と同じように、むせるのを嫌がって、本人が自分で食事量を調整することがあります。いつもより食事が多く残る、体重が落ちてきたといったことが見られた場合は、注意する必要があります。

●元気がない、ぐったりしている

食事量が少なかったり、軽い肺炎を起こしていたりする場合に、元気がない、ぐったりしているといった状態がみられることがあります。特に、軽い肺炎の場合、せきや発熱が見られないケースもあるため、判断が難しい場合は医師に診てもらうようにしましょう。

高齢者の命をおびやかす誤嚥性肺炎。
これらを念頭に、入居されている方々の食事風景を今一度よく観察してみましょう。