化粧療法は認知症の症状が和らぐ新しいケア方法

ムスカリとミツバチ

化粧療法という言葉をご存じでしょうか。

認知症を患った高齢女性に化粧療法を実施することで、心や体に良い効果があるという報告が続々とされています。

今回は、新しい認知症高齢者のケア方法である化粧療法についてご紹介します。

化粧で認知症の症状が和らぐ

化粧療法は、病気が原因で心理的な問題を抱える患者さんや、認知症を患った高齢者に対して、「化粧を行う」という新しいケア手法です。メイクセラピーやコスメティックセラピーとも呼ばれています。

とくに、認知症を患った女性の高齢者では、化粧をすることで、気持ちが前向きになったり、会話が増えたりといった、心理面でプラスの効果があることが報告されています。さらに、精神面だけでなく、血液検査の結果でもプラスの影響が見られたという報告もあるようです。

始めはただ化粧をしてもうらだけだった認知症高齢者が、回数を重ねるごとに、言葉数が増え、笑顔を見せるようになり、さらには、自分から化粧をしたり、髪を結ったりなど、積極的な姿を見せるようになった例もあるようです。

心理面や身体面、周囲との関わりでプラスの効果

認知症の高齢女性に対して化粧療法を行った例では、下のようなプラスの効果があったことが報告されています。

心理面での効果

・老いていくことに対するネガティブな考え方が和らいだ。
・孤独感が和らいだ。
・コミュニケーションが活発になった。
・気分が良好になった。
・昔を思い出して話をするようになった。
・認知機能が改善した。
・自分の生活に対する意欲が出てきた。

周囲との関わりについての効果

・女性であることの実感が生まれた。
・周囲の人への意識や思いやりが見られるようになった。
・笑顔を見せるようになった。
・自分に対する評価が肯定的になった。
・積極的に行動するようになった。
・自分で身だしなみを気にするようになった。
・自分で着替えたり、衣服を気にしたりするようになった。

身体的な効果

・免疫力が上がった。(赤血球数・ヘモグロビンの増加、NK細胞活性の上昇、IgAの上昇)

このように、化粧療法は、前向きな心、周囲との関わりの増加、免疫力の向上など、精神的にも身体的にも効果を上げているのです。

普及には課題が残る化粧療法

認知症高齢者に、いろいろな面で良い効果を発揮している化粧療法ですが、広く普及していくためには、まだいくつかの課題が残っています。

まず、化粧療法の実践やケアに関するまとまった方法がまだ確立されていません。どのように実施するのが良いのか、誰が実施するのが良いのかなど、方法論の確立が待たれます。

また、全ての認知症の高齢女性に実施して大丈夫なのかがはっきり分かっていないことも課題です。今後、化粧療法を実施しない方がよいケース、実施することが逆に認知症を悪化させるケースなども、明らかにしていく必要があります。

化粧によって認知症の症状を和らげることができる新しいケア方法、化粧療法。
より多くの施設で行われるよう、研究が進むことが期待されます。