認知症介護に必要なこと

オジギソウの赤い花

若年性認知症(アルツハイマー型)の義父を介護していて常に感じていたことがあります。

それは、もっと周りの皆さんが認知症に対する理解を深めてくれたらいいのになぁ、ということです。

我が家の場合、認知症と診断されて3年ほど経つ義父と同居していたのですが、当時68歳の義父は、身体機能はほとんど問題なく、元気に動き回れました。

でも認知症の症状はかなり進行していて、理解不能な行動をくり返したり、大切なことを忘れたり、状況判断ができないなどの様々な問題がありました。
ここで是非お話ししておきたいことがあります。
認知症で、通常では考えられない行動をくり返す人でも他人(しばらく会っていない親戚や、ご近所の方)と話すときには緊張感があるせいか割と普通の会話ができたりするということです。

それで、周りの人は義父が認知症であることに気づかずにいるケースが多いというわけです。

末期がんで闘病中だった義母が亡くなり、義父の認知症の症状は急に悪化し始めました。
そのうちに、暴力行為が増え始めました。

健常者から見ると何でもないようなことで突然火がついたように怒り出し、夫や私は何度も殴られそうになりました。

夜中に起きて火を使おうとして危なくて、必死で止めて、途方にくれたこともあります。

それでも他人とは健常者に近いような状態で話をすることができました。

家族としては、義父が何をするかわからず、家を空けることができないのに加えて、夜中も目が離せない状況になりつつあり、あるとき、私は何を食べても吐いてしまうようになりました。

検査の結果、ストレス性の胃腸炎でした。同じ頃、夫も神経性胃炎と診断され、睡眠障害も出始めていました。

そんなある日、義父の主治医の先生から、「お父さんを介護施設に預けたらどうですか?」というお話がありました。

夫も私も、できるだけ家で過ごさせてやりたいと思っていたので、最初はすごく戸惑いました。

でも、先生の言葉で決心がついたのです。

「このままでは、あなたたちが倒れてしまいますよ。
そうなった時、お父さんの介護は誰がするんですか?」

「専門家がきちんと介護することで、症状が改善することも
充分考えられます。そして、介護する側の精神的負担も減り、ゆとりある心でお父さんと接することができるようになれば、そのほうがお互い幸せでしょう?」

そうか、頑張り過ぎないということも大切なんだと
気づいた私たちは、義父をグループホームに預けることにしました。

問題は、そのあとです。

親戚の中に、「○○(義母の名前)の一周忌も済まないのにあんなところ(施設)に入れるなんて!」と言う人が現れたのです。
ご近所の方の中にも同様のことを言う人が出てきて、「○○さん(義父の名前)は、まだまだ元気だし、別にボケてるわけでもないのに、厄介払い?」と言われたりしました。

さて。
思い出していただきたいのです。

認知症患者の特徴として、他人とは普通の感じで話せるということを。
実際には、じっくり話せば矛盾点やおかしいところがたくさん出てきて、認知症だと気づく人もいます。
でも、少し話したぐらいではわかりません。

家族なんですから、本当は一緒に暮らしたいのです。
でも、それが難しくて、仕方なく施設にお世話になっている・・・

逆に、周りの人の目を気にして無理して自宅で介護をして、病気になってしまったり、自殺してしまったりする人がいることも事実です。

一人ひとりが認知症の特徴や、患者との接し方、患者の家族のつらさを理解していれば、介護疲れによる自殺などの事件はずいぶん減ると思います。

最近では、自治体が「認知症サポーター養成講座」を開催するケースも増えてきました。私も今年、地元の養成講座に参加しました。

少しでも多くの人に認知症に対する理解を深めていただき、介護で悩む人を減らすことができたらいいなと思っています。

「認知症サポーター養成講座」については、お住まいの地域の役所などで発行しているお知らせに載っていたりします。
電話やメールで役所に問い合わせてみるのもいいかもしれません。

ぜひ皆さんも積極的に認知症について学ぶ機会を作ってみてください。