3つの考察!なぜ日本人に寝たきりが多いのか?

雨水に濡れた花

日本では欧米に比べると、寝たきりの高齢者が非常に多い国です。

一方欧米では、同じ先進国であるにも関わらず、寝たきりの高齢者はずい分と少ないようです。

今回は、なぜ日本人には寝たきりが多いのか、という問いについて考えてみましょう。

日本人に寝たきりが多い3つの考察

日本は「寝たきり大国」と呼ばれるほど、寝たきりの高齢者が増えている国です。厚生労働省の推計によると、2000年に120万人であった寝たきりの高齢者は、2025年にはその2倍の約230万人に増加すると見込まれています。

一方で、欧米では、寝たきりの高齢者は日本ほど多くはないことがよく話題に上ります。とくにスウェーデンと日本で、高齢者ケア施設の寝たきりの割合を比べると、スウェーデンが約4%に対して日本が約34%と、8倍以上も差があることが伺えます。

この差はどうして生まれるのでしょうか。これには、医療をとりまく社会的な背景や、終末医療に対する考え方の違いなど、さまざまな理由があると言われています。

1.終末医療に対する考え方の違い

終末医療とは、命が尽きる直前の期間における治療や処置を指す言葉です。しばしば、同じ意味で、延命治療やターミナルケアという言葉も使われます。

日本では、食事を口から取れなくなった高齢者に対して胃ろうを作るなどの処置が行われます。胃ろうとは、お腹の外側から胃に穴を開けてチューブを通し、そこから胃に直接、流動食などを注入するためのものです。こういった処置が行われる背景には、点滴だけでは必要な栄養を十分に確保できないこと、消化や吸収で腸が使われなくなると免疫力が低下する、などの医学的な理由が関係しています。

日本では、胃ろうのような手厚いケアが行われるため、食事がとれない人でも最低限の栄養を確保することができるため、寝たきりの人が命をつなぐことができるという事情がある、というわけですね。

一方欧米では、寝たきりの高齢者に対して胃ろうのような処置はあまり行われないようです。これには、「口から食事が取れなくなった場合は、命が尽きるのが自然である」という考え方が関係しているようです。つまり、欧米では、このような事情で、寝たきりの期間が長く続くことはないため、寝たきりの人の数が少ないというわけです。

2.生活環境の違い

日本の伝統的な民家では、畳敷きの上に直接腰を落として休息するスタイルが多くみられます。このスタイルでは、体を起こすのに多くの力が必要になるため、体力が少し衰えるとあまり動かなくなり、寝たきりになりやすいという見る説があります。

一方で、欧米の家屋では、椅子やソファに腰かけるスタイルが多いため、自力で立ち上がるのにそれほど力を必要としません。また、面積も広く、平屋の1階建てが多いため、高齢者が家の中でよく動くことができ、寝たきりになりにくいのではないかと考えられています。

3.カルシウム摂取量の違い

日本では、欧米に比べてカルシウム摂取量が少なく、骨粗しょう症になる人が多いために、寝たきりの高齢者が多いとする説があります。

骨粗しょう症とは、骨からカルシウムが溶け出して、骨がスカスカになってしまう病気です。健康な人の骨の密度を100%としたときに、70%を下回ると骨粗しょう症と診断されます。骨粗しょう症になると、骨がもろくなって骨折が起こりやすくなり、そのまま寝たきりになってしまう高齢者が非常に多いことで知られています。

欧米では、食事の中で乳製品が多く登場し、牛乳やチーズなどを頻繁に食べています。そのため日本人よりも骨が強く、寝たきりになりにくいのだという考え方です。

しかしこの説には反論も存在します。世界の統計によると、カルシウム摂取量が多い国では、逆に骨粗しょう症の数の多いというデータがあります。その考え方では、骨粗しょう症が増えている原因には、カルシウムの不足ではなく、むしろ糖分や脂肪分の多く野菜や果物が少ない食事である、としています。

この考え方に基づくと、近年の食の欧米化などで日本人の食習慣が大きく変化して、糖分や脂肪分が多く野菜や果物が少ない食事になってきたことで、骨粗しょう症が増えて、寝たきりが増えてしまったと理解されます。

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いかがでしたか。
寝たきりの高齢者の数で欧米を大きく上回っている日本。
これからは、世界一に平均寿命と併せて、寝たきりを減らして健康寿命を延ばす取り組みが、ますます重要度を増してくることでしょう。